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G線上の魔王

G線上の魔王【30】(終)

・・・。 たったいま、漁船から、日本の領海を離れたと報告があった。 現在、父を海上で、別の船に引き渡しているという。 安堵した。 心の底から、ため息が出た。 ようやく勝ち得た安息。 長かった。 柄にもなく涙が出た。 徹底的に破壊つくした街並みに、…

G線上の魔王【29】

・・・。 ・・・・・・。 エレベーターは上昇を続けていた。 狭い箱の中で、"魔王"は腕を組み、じっとハルを観察していた。 ハルも同様に、飛びかかる機会をうかがっていた。 "魔王"はあきらかに状況を楽しんでいるようだった。 ハルを拘束もせずに、ただ見…

G線上の魔王【28】

・・・。 翌朝、おれは時田を自宅に招いた。 「ノリコ先生の反応はどうだった?」「概ね許してくれるそうよ」 「ユキ・・・あまり一人で悩むなよ」「・・・・・・」 どこか釈然としない様子だった。 「さあ、"魔王"について知っていることを話してもらおうか…

G線上の魔王【27】

・・・。 宇佐美ハルは単身、街に出ていた。 気温はかなり低い。 京介に上着でも貸してもらえばよかったと思いながら、当てもなくうろついていた。 ――妙だ。 若者の数が、目について少ない。 コンビニの前でわけもなく座り込んでいる男たちや、ライブハウス…

G線上の魔王【26】

・・・。 小学校の帰り道。 おれは父、鮫島利勝に会いに、父の職場を訪れていた。 しかし、忙しい父が、勤務中に子供の相手をしてくれるわけもなかった。 だったら、この高い建物の屋上に登ってみようと、幼心に思った。 五十階建ての超高層タワービル。 屋…

G線上の魔王【25】

・・・。 ==================== 息子へ 第一回公判を前に、お前に肉声を伝えたいと、お父さんは筆を執った。 父さんは死刑判決を免れないだろう。 だから、この手紙を殺人犯の言いわけと読んでもらってけっこうだ。 ただ、父さんが宇佐…

G線上の魔王【24】

・・・。 ようやくハルからの着信があった。 ユキはハルがどんな罠を用意したのかと気を引き締めながら、応答した。 「待ちくたびれちゃったわよ」「ごめん。 気持ちの整理がつかなくて」「言いわけはいいから、とっとと理事長をなかに入れてもらえる?」「…

G線上の魔王【23】

・・・。 両側にカシやシイの並木を配した参道のような道をしばらく歩くと、そこは一面の雪景色だった。 富万別市の東区、小高い丘に幼い水羽とユキの憩いの場があった。 「お姉ちゃん、この子になんて名前つけるー?」二時間ばかりかけて、子供の背の高さ…

G線上の魔王【22】

・・・。 おれと宇佐美は、時田の報告を受けて、真っ先に理科準備室に向かった。 「落ち着きましょう、浅井さん」「わかってる」「人が消えるなんてありえません」「ああ、時田は妹が心配で、ちょっとしたパニックに陥ったんだろう」 おれたちは、廊下を駆け…

G線上の魔王【21】

・・・。 一時間と経たずして、園山組の若い衆が学園に集まってきた。 「いやあ、坊っちゃんも、自分らをこきつかってくれますねえ」「本当に申し訳ありません」「いやいや、坊っちゃんのためならたとえ火の中、水の中」 権三には連絡がつかなかった。 仕方…

G線上の魔王【20】

・・・。 翌朝学園に足を運ぶと、宇佐美が待ち構えていたように目の前に立ちふさがった。 「ついに、動き出しましたね?」「なんだ、ご挨拶だな」「ほう、ほほう。 しらばっくれるおつもりですか?」「は?」一歩近づいてくる。 「なんだ、なにかあったのか…

G線上の魔王【19】

・・・。 年が明け、宇佐美との初詣をへて、再び学園に通う毎日だった。 「しかし、花音がいないと、いまいち盛り上がりませんねえ」「ひと月もしたら帰ってくるよ」「椿姫もなにやら家事と学園の行事に追われているようですしね」「暇なのはおれとお前と栄…

G線上の魔王【18】

・・・。 ・・・さて・・・。 腕時計の針を確認する。 あと十五分ほどで八時だが・・・。 西条から連絡が途絶えたことをどう判断するか、だ。 計画をしゃべったか、しゃべったとしてもどこまで情報を漏らしたか・・・それが問題だ。 おれがニット帽をかぶっ…

G線上の魔王【17】

・・・。 早朝、"魔王"と呼ばれるおれは、山王物産のビルの地下にいた。 「また、フィギュアスケートの大会が始まったわけだが・・・」「進捗状況を確認したいと?」「かんばしくないようだね」「種はまいています」「ぜひ、その種の開花時期を教えて欲しい…

G線上の魔王【16】

・・・。 翌朝すぐに、おれは郵便局に、母さんへの手紙といくらかの現金を送りにいった。 帰りがてら借りてきたDVDを花音の前で掲げた。 「おら、ご所望の品だ」「ごくろー」 花音の朝は早い。 休みだというのに、きちっと身だしなみを整えている。 「菓…

G線上の魔王【15】

・・・。 「坊っちゃん、そっちの女性は、坊っちゃんの女(イロ)ですかい?」 堀部がにたりと笑う。 午後三時過ぎだろうか。 おれたちはアイスアリーナのなかに入って、一度顔を合わせていた。 おれ、宇佐美、そして堀部以下六人の極道たち。 それなりにまと…

G線上の魔王【14】

・・・。 おれの邪魔はしないと言った花音だが、しかし早朝にたたき起こされるとは思わなかった。 「おはよ、兄さんっ」 すでに私服に着替えていた。 「いまは五時半です」「のんちゃんは、いまから出勤です」「ソファで寝ていたおれの身にもなってくれ」「…

G線上の魔王【13】

・・・。 宇佐美がおれの部屋を訪れてから、しばらく何気ない日々が続いていた。 椿姫たちは無念ながらも家を立ち退き、いまはおれの家の近くのマンションの一室に住んでいる。 椿姫も家事に忙しいのか、最近では、あまりいっしょに時間を過ごすこともなくな…

G線上の魔王【12】

・・・。 親父さんの相談というのは、他愛もないものだった。 おれを呼び出すための口実だったようだ。 別に、悪い気はしない。 そういうところが少しもないヤツのほうが、異常なんだ。 姿見の前で着飾る椿姫には、わずかとはいえおれを欺きたいという気持…

G線上の魔王【11】

・・・。 翌朝すぐに、椿姫の家に出向いた。 休日の朝らしく電車も空いていた。 声をかけると椿姫は弟を連れてすぐに出てきた。 「お兄ちゃん、こんにちはー!」「お・・・」 少なからず驚いた。 「おう、元気いいなー」 誘拐され、一週間近くも廃病院に監…

G線上の魔王【10】

・・・。 朝起きて、牛乳を飲みながら新聞を読む。 ――『自由ヶ咲学園に捜査のメス』 見出しを見て、納得がいった。 賄賂を渡した疑い・・・。 どうも、学園の拡張工事を巡って理事長と業者の間で、不正な取引が交わされているらしい。 そりゃあ、株も下がる…

G線上の魔王【9】

・・・。 「ちょっと聞いてくれよ、京介ちゃんよぉ」 翌日、おれは学園に出ていた。 「オレ、今日生誕祭なわけだよ」「生誕祭だあ?」「どうよ、びっくりしただろ?」「びっくりしねえけど、誕生日ってことか?」「ほらだせよ、貢物」「昼飯のパンとかでい…

G線上の魔王【8】

・・・。 冬の朝はいつもより冷え込んでいた。 さて、今日は朝から大忙しだ。 支度をして玄関に立つと、胸ポケットのなかで携帯が鳴り響いた。 「もしもし・・・」 相手は椿姫だった。 「朝早く、ごめんね」「ああ、かまわないよ。 なにかあったのか?」「…

G線上の魔王【7】

・・・。 ・・・・・・。 む・・・。 もう、朝か。 昨晩は、頭痛を覚えたものだから、ベッドでぐっすりと寝ていたな。 とにかく、昨日の夜は、じっくりと休んでいた。 久しぶりに浴槽につかって体を癒したり、たまっている洋服を洗濯したりと、おれにしては…

G線上の魔王【6】

・・・。 学園には昼から出ていた。 「おい、京介」 廊下で栄一につかまった。 「よう、昨日の飯はうまかったか?」「まずくはなかったかな」「偉そうだな・・・」「そんなことより、お前、椿姫に気があんのか?」「しつこいヤツだな」「おいおいオレはよー…

G線上の魔王【5】

・・・。 月曜日だが、やるべきことがあるので、学園は休んでいる。 今日は東区の土地の再開発について相談を受けているところだった。 都心にあるテーマパークを模した、大規模なレジャー施設を誘致するという大掛かりなプロジェクトだ。 浅井興行は直接的…

G線上の魔王【4】

・・・。 「・・・見つからない?」「おう」 朝の権三はいつも不機嫌そうだ。 ・・・。 肉食獣のような巨躯を持て余すように、気だるげに身を起こす。 「例のイベサー・・・たしか幹部は六人いるという話でしたが?」「全員捕まえた」「それで?」「覚醒剤…

G線上の魔王【3】

・・・。 「我々は生きているっ! 復讐するは我にありっ!おれが天下に背こうとも、天下がおれに背くのは許さん!」 放課後の理科準備室。 おれは、雄叫びを上げていた。 「おい、愚民!」「あ、はい」「貴様の願いを聞いてやろうではないか」「え、えっと…

G線上の魔王【2】

・・・ 冬の風が眠気を一気に吹き飛ばす。 今日も学園だ。 学園は何も考えなくていいから楽しい。 「兄さんっ!」「っ!」 不意に、マンションの堀の影から花音が飛び出してきた。 「兄さん、もうお前ホントこんちくしょー!」「あででっ!」 腕をつかまれて…

G線上の魔王【1】

当ブログは、私個人の趣味でゲームを"ほぼ全文"文字起こししています。 ローマ字入力・かな入力・親指シフト等、タイピング練習も兼ねています。 ※誤字・脱字が多々あるかと思われます。 【○少女 ✕処女 etc...】 最初の頃は頑張ってひとりで校正をしていまし…