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AIR【30】

 

 

・・・

 

目覚めは、日ざしの中・・・

いつだって、まぶしくて・・・

そして、優しさの中にあった。

見上げると、彼女の顔。


・・・みすず。


その腕の中に僕はいた。

 

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「そら・・・。
わたしね・・・大好きなひとの夢を見てた・・・。
はげまされてた。
がんばれ、がんばれって。
・・・・・・ね、往人さん・・・。
往人さんは、最後にわたしのそばにいてくれたんだよね・・・。
わたしのことを思って、いてくれたんだよね。
最後にはやっぱり、戻ってきてくれて・・・。
がんばれって、わたしに何かをくれたんだよね。
それは大切なものだから・・・。
すごく大切なものだから・・・。
だからこんなことで諦めちゃダメだよね・・・。
そんなことしたら、またしかられちゃうよね。
頭、ぽかって叩かれちゃうよね・・・。
往人さん、わたし、ひとりでも、がんばれるかな。
ひとりぼっちでも、がんばれるかな。
がんばらないとダメだよね・・・。
だから、あきらめたら、ダメだよね・・・。
ひとりでも、がんばらないとダメだよね・・・」


もう、彼女はさっきの彼女とは違った。

目に光が戻ったのがわかる。

だから、翼を大きく広げた。

僕はまだ飛べないけど・・・彼女には行ってほしかった。

ここから、一番遠いところまで。


「そうだよね・・・そらが飛べるようになるまで、わたし一緒にいるって言ったもんね。
わたし、がんばってみる、わたし、強い子。
それぐらいしか、取り柄ないし。 にはは」


・・・・・・。

 

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小さく囲われた空を見る。

そして、その空に誓う。

大丈夫。

僕も、一緒にいくから。

・・・と。


・・・・・・。


・・・。

 

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「今日は、久々にでかけよーっ。 おーっ」


彼女が僕を肩に乗せてくれる。


「外に出てね、楽しいことして遊ぶの。
歩くのはつらいけどね、がんばってみる」


・・・・・・。

 


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陽が目に痛い・・・。

どれだけ僕たちはこうして陽を浴びていなかったのだろう。

どこまでも道が伸びて、その地面に降りそそぐ日差し。

なにひとつ変わっていないはずなのに、今は優しく僕たちを迎え入れてくれていた。

僕たちはしばらく立ちつくしていた。


「うーんっ・・・気持ちいい。
久しぶりの外の空気、おいしい。 よいしょ・・・」


ゆっくりと歩いてゆく。


「よいしょ・・・」


僕たちは歩いてゆく。


・・・・・・。


・・・。

 


「ちょっと休もうね。
でも、楽しいことってなんだろ。
何をしたら、一番楽しめるかな」


きょろきょろ。


「結局これかな、ヘンなジュース。
んー・・・代わり映えしないけどいいよね。
今までもそうだったし。
やっぱりわたしはこれをひとりで飲んで楽しむの。 いいよね」


ふらふらと販売機にもたれるようにして、立ち上がり、硬貨を取り出す。


かちゃり。


「今日はひとりでがんばるって決めた記念日。
だから、特別ヘンなの飲もっと。
んー、どれにしよう。
これはよく飲んでるし・・・。
こっちは普通の味だったし・・・。
わ・・・新発売、見っけ。
これはラベルからしてコワイ・・・。
すごい色してるし・・・。
でも、飲むの。 えい」


ぽち。


「あれ・・・?」


彼女の手よりも先に、後ろから別の手が伸びていた。

 


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「ひとりで漫才しとらんで、とっとと買いや」
「あ・・・お母さん」


見慣れた・・・少しだけ懐かしいような顔があった。


「ただいまや」
「う、うん・・・。 おかえりなさい・・・」
「それで良かったんか」
「う、うん・・・」
「なんやそれ、けったいなジュースやな。
うちも買うわ。 一緒に飲も」
「うん・・・」
「なぁ・・・観鈴
「うん?」
「どれがうまいんや。 ごっつ不気味な品揃えやで・・・」
「あ、えっとね、その端っこのとかおいしかった・・・」
「これか? どろり濃厚、とか書いてあるで?」
「うん、それ・・・」
「・・・まか、ええわ。

ノド渇いてるから、なんでもうまいやろ」


ぽち。


がしゃん。

 

しばらくふたりは黙っていた。


ちゅーちゅー・・・


・・・ちゅーちゅー


ただ、飲み物を飲む音だけが、風の音に混じって聞こえてくる。

 

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「どないしたんや?」
「ううん・・・なんにも」
「そうかー」


ちゅー・・・


「・・・・・・。

ノド渇いてても、まずい飲み物ってあるんやなー・・・。
なんか、すごい発見した気分やわ・・・」


ひとり喋り続ける女。


ちゅーちゅー・・・


その横では、彼女が黙って飲み物を飲み続けていた。


「な、観鈴
いつもここでひとりで飲んでたんか?」
「うん」
「そうか・・・。 ひとりにして、ごめんやで」
「ううん・・・」
「これからは一緒や。 どこにもいかへんからな」
「うん・・・」
「なんか変わったことあったか」
「うん・・・」


ちゅーちゅー・・・


「いろんなこと・・・ありすぎて・・・。
すごく大変だった・・・」
「そうか・・・ごめんやで」
「うん、ひとりぼっちになっちゃって・・・。
もうダメだと思って・・・。
でも、がんばろうと思って、ここまでひとりできて・・・。
ひとりでジュース飲もうと思ったの」
「ほんま、堪忍やで」
「うん・・・」
「うちも大変やったんや、観鈴のために頑張ってきてたんや。
観鈴をずっと、神尾の家に置いとけるようにな」
「え・・・?」
「あんたは、うちの子やあらへん」
「うん・・・そうだね」
「いつか橘の家に連れていかれる。
せやから、一緒に住んどっても、あんたに構ったることができへんかった。
あんたのこと好きになってしもたら・・・別れるんがツライやろ。
毎日、もうすぐ迎えにくるんちゃうかって、思っとった。
いつ迎えにきても引き渡せるように、気持ち落ち着けとった。
でもな・・・結局意味なかったわ・・・。
うち、あんたのこと好きや。
ずっと一緒に暮らしたい、思ってしもたんや。
そうなったら、毎日が不安やった。
向こうはいつあんたをかっさらってゆくかわからへん。
あんたの誕生日、また祝えへんのかって・・・。
それがあんまりに悔しくて、悲しくて・・・。
それで決心したんや。
あんたをうちの子にする。
そう決めたら、いてもたってもいられんようになって、こっちから話つけにいったったんや。
大丈夫や、手は出してへん。
代わりに橘の家の前で、十日も土下座し続けたったわ。
嫌がらせみたいなもんやろ?
うちを家にいれんとことしたからな。
それでようやく家ん中通してもらったわ。
法的には、うちにはどうしようもあらへん。
あんたをうちの子供にしたい言うても、向こうが拒否すればそれでしまいや。
あんたは、連れてかれる。
うちには情に訴えるしか方法がなかったんや。
もう少しでぶっ倒れるとこやったで。
でも頑張れた。
観鈴の笑顔、ずっと思てたからなー。
それ失うこと思たら、なんでも平気やったわ。
だから、もうずっと一緒や。
もう、なんも心配せんでええ。
ずっと、ひとりにしてごめんやで。
ほんま、堪忍やで。
堪忍や、観鈴・・・。
これからは、うちと一緒に遊ぼな。
友達なんかおらんでもええやん。
うちが遊んだる、ジュース、毎日飲もな。
うちは、まともなジュースがええけどなー」
「お母さん・・・」
「なんや」
「どうして、帰ってきちゃったの・・・。
わたし、もう誰にも迷惑かけないで生きるって決めたのに・・・」

 

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「あほやな・・・。
なんでそないなこと決めんねん。
ずっと、ひとりにしてきたからか・・・?
それやったら、うちはどれだけ謝っても許してもらわれへんかもしれん・・・。
けど、うちはあんたと生きたい。
あかんか?
うち、わがまま言うとるだけか?
あんたは・・・もう、うちとなんか暮らしたないか?
な、観鈴・・・どないなん」
「・・・・・・。 わ、わたしは・・・」


彼女の足が震えていた。


「どないしたん、観鈴・・・」


ぽとりと、その手から飲み物の容器が落ちる。


「あんた・・・まだ、具合悪かったんか・・・」
「だいじょうぶ・・・」
「嘘いいやっ・・・」


彼女が崩れ落ちる寸前に、女が抱き上げていた。


・・・・・・。



それからは大変だった。

女がいなかった時間はあまりに長すぎた。

その間に、彼女の体は変わり果ててしまっていたのだ。

そのことを初めて知って、女はうろたえ、困惑し、うなだれた。

その女に対して、彼女は話しかけ続けた。

たぶん、どうしてそうなってしまったかを説明していたのだと思う。


・・・・・・。


・・・。

 

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「足・・・動かんのか・・・?」
「うん・・・」
「なんでや・・・。
医者に行こ。 きっと治るで」
「それは・・・ダメ」
「なんでや」
「さっき話した通り。 これはきっと、病気じゃないから」
「・・・・・・」
「往人さんとがんばったことが無駄になるから・・・」
「けどな、一度だけ診てもらお。
ほら、診療所の女先生なら、きっと相談に乗ってくれるで。
注射もせえへん。 うちが話つけたるから、一度診てもらお」
「診てもらったよ。 わたしが学校で倒れたときに」
「せやな・・・」
「あのときも何もわからなかったし・・・。
ずっと、診てもらってもわからなかった。
子供のときからずっと同じ。
そのわけを、往人さんと一緒に見つけたの。
今も、もうひとりのわたしがこの空にいて・・・。
ひとりで何かを背負い続けてるから。そのせいなの」
「・・・・・・」
「だから、身体が動かなくなったのも病気じゃない。
なにか理由があるから。
もうひとりのわたしに、そうなる理由があったから。
だから、わたしはそれを確かめるの。
そのために、がんばっていくの」
「それは、ここでないと、この家でないとあかんのか・・・?」
「うん。 入院なんてしちゃったら、ダメだと思うから」
「なんでや? うち、付きっきりでそばにいたるで」
「だって、入院したら、わたしは本当に病人になっちゃう・・・。
そうなったら、ダメになると思う、わたし。
せっかく見つけた理由が、自分で信じられなくなると思う。
だからわたしは、普通に生きていくの。
今までどおりに、ここで暮らしていくの」
「ようわからん・・・。
ようわからんけどな、うちもあんたの頑張ろうとしてること、応援したいわ・・・。
ほな、わかった。
うちがあんたをよう看たる。
それで元気にしたる。
観鈴は自分のこと頑張ってたらええ。
うちは観鈴を元気にすること頑張るから。
そうやって、二人で頑張っていったら、きっとなにもかもうまくいくわ。
そう思うやろ?
観鈴はこれからはずっとうちと一緒に頑張るんや。
頼りにしてええで」
「・・・・・・うれしい、わたし。
わたしを家族にしようとしてくれたってだけで・・・。
それだけでうれしい。 涙出るぐらいうれしい」
「はは・・・泣かんでもええやん」
「それだけで十分。
十分だよ、もう・・・。
だからね・・・。
だから、今までどおり、お互い構わずに暮らしていこ」
「なんやて・・・?」
「ふたり別々に生きていこ。 わたしはひとりでがんばる」
「・・・・・・なんでや?
あんた、おかしなこと言うてるで。
なんで、頑張らなあかんのに、ひとりなんや?
ひとりより、ふたりや。 ふたりで頑張っていこ」
「わたしお母さんと一緒にいたい。
でも、一緒にいて大切なひとになっちゃったら・・・。
今度はお母さんを・・・」
「・・・・・・ええよ」
「いや・・・。
わたしのせいで、お母さんを、苦しめたくない・・・」
「うちはどうなってもええ。
あんたと家族でいられたら、それでええんや」
「いやだ・・・お母さんまでなくしちゃうのいやだ・・・」
「もしな、うちが苦しむようなことになったら・・・。
うちは嬉しいで、そのとき、うちは、あんたの一番近くにおる人になれた。
・・・いうことやろ?
そうなってみたいわ。
せやから一緒に頑張ろ、な」
「・・・・・・」
「一緒に頑張らせてや」
「・・・・・・ダメだよ。
お母さんはもうわたしになんて構ったらダメ。
お母さんは自分のことがんばるの。
わたしも自分のこと、がんばるから」


彼女がそっぽを向く。


「・・・・・・」


それからは、女の呼びかけにも答えなかった。


・・・・・・。


・・・。

 


女は部屋を出てゆき、彼女はひとりきりとなっていた。

彼女が僕を抱え上げる。

 

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「ねぇ、往人さん。
今度はどうしたらいいと思う?
わたし、ひとりでがんばろうって決めたのに・・・。
どうしたらいいと思う?」


彼女が僕に何かを問いかけていた。


「わたしはお母さんと一緒にいたいよ。
でもそうしたら、今度はお母さんまでなくしちゃうのかなって・・・」


彼女がうつむく。


「・・・・・・。

本当はもうひとりでジュース飲みたくないよ・・・。
お母さんと一緒にふたりで飲みたいよ。
トランプも、もうひとりでしたくないよ。
お母さんと一緒にしたいよ。
ずっと小さいときからそうしたかったように、ふたりで生きたいよ・・・。
でもダメだよね・・・。
我慢して、お母さんのこと好きにならないようにしないと、ダメだよね。
でもあんなふうに言われたら、わたしダメだよ・・・。
一緒にいたいよ・・・」


泣きそうな顔。


それをじっと見上げていた。


・・・・・・。


・・・。

 

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観鈴ちゃん、ご飯やで~。
神尾家特製の雑炊や。
こう見えても、うち料理上手いんやで。
でも、久しぶりやったから、勘が狂っとるわ。
素手で土鍋のふた取ってしもた。
アッチッチや、でも、味のほうはいけてると思うで。
野菜もたっぷり。 うちの愛情もたっぷり入ってるで」


彼女のとなりに座り、器のふたをとる。

もわっと、湯気が上がった。


「熱いからな。 気ぃつけて食べや」


さじを差し出す。

それを使って、彼女がひとすくい、口に運ぶ。


ぱく。


「どや。 おいしいやろ?」
「・・・・・・おいしくない」
「そうかぁ・・・。
堪忍な。 今度は上手に作るからな」


・・・。

 

「・・・・・・いらない・・・」


彼女は器を置いた。


「お母さんのご飯、いつもおいしくない・・・。
だから、もう作ってくれなくていいよ」
「なんでや? おいしくなくても、子供は親のご飯を食べて、育つもんやで」
「わたし、自分で作って食べるから。
ひとりで作って、ひとりで食べるの・・・。
ずっとそうしてきたから、これからもそうするの・・・」



・・・・・・ぐすっ・・・



「・・・・・・泣いてるやないか」


彼女の隣に女が座る。


「ほら、涙拭き」


その目を指先でなでた。


「泣いてたら、ご飯おいしくないやろ?
ちゃうか。

うちのご飯がまずいから泣いてるんか・・・。
はは・・・堪忍な」
「・・・・・・ぐすっ・・・ほんとはおいしいの・・・。
おいしいのに、おいしくないって言わなくちゃいけないの。
わたし、お母さんのこと大好きだから、嫌いにならなくちゃいけないの」
「おかしなこと言う子やなぁ。
大好きなものは、大好きでええやん。
うち、嬉しいで。
頑張ってきた甲斐あるわ。
な、ふたりで頑張っていこ。
どんな親でも、自分の命より娘の命のほうが大事なんや。
あんたがうちを必要としてくれるんやったら、それ以上のことなんてあらへん。
あんたに嫌われたら、うち死んでるんと一緒や。
な、観鈴
うちを生かしてや、それが短いもんでも構わん。
うちの力であんたを幸せにさせてや。
それで、うちの人生は輝いとったと思わせてや。 な」
「・・・・・・」
「ほら、冷めんうちに、食べよ」
「・・・・・・」


ぱく。


「・・・・・・おいしい・・・」


ぱく。


「ぐすっ・・・」
「なんや、観鈴ちゃんは泣き虫やなぁ」
「お母さん・・・」
「なんや?」
「うあぁーーーーんっ・・・!」


泣き出して、女に抱きついた。


「うぁ・・・ごめんね、わたし・・・一緒にいたい。
お母さんとふたりで生きていきたい」
「あほやな・・・なんで謝んねん。 それが親子やんか」
「でも、苦しくなったら、言って・・・」
「うちは苦しくなんてならへん。
無神経で、ごうつくばりやからな。
せやから、あんたがなんでこんな目に遭うとるのか、ふたりで突き止めよ。
そうしたら、ふたり元気でいられる。
ずっと一緒に暮らしていけるで」
「はぅ・・・」
「ほら、もう泣きやみ。 それでうちのご飯食べてや」
「うん、食べる。 お母さんのおいしいご飯食べる」


ぱく。


泣きながら、でも今度は嬉しそうに、彼女はご飯を食べ続けた。

女も、ずっとそばにいて、それを見守っていた。


・・・・・・。

 


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「せやけど、なんで、あいつおらんなってしもたんやろな・・・」
「・・・・・・」
「うちがきついこと言い過ぎたかな・・・。
でもあれは性分なんや・・・」
「うん、知ってる。 きっと往人さんも知ってたよ」
「それやったらええけどな。
なんか、家族増えたみたいで、楽しかったのにな」
「うん、子供がふたり」


ぽかっ!


「イタイ・・・」
「あほ、あれが子供やったら、うち何歳やっ」
「お婆さん」
「誰がや」
「お母さんが。 にははっ」


ぽかっ!


「が、がお・・・」
「あほっ」


女は笑っていた。


「また居候も帰ってくるやろ。
あいつのことや、他に泊まるところなかった、って感じでな。
そのときは、うちらの仲の良さ見せつけたろな」


女は、唇を彼女の鼻の頭にちょんと当てた。


「うん」


・・・・・・。


・・・。




「さて、今日はうちが手伝ったるさかい、風呂入ってサッパリしよ。
パジャマも長いこと洗(あろ)てへんやろ?
観鈴、クサい女の子になっとるんとちゃうか?」


彼女が自分の来ていた服に鼻をつける。


「うーん・・・そうかも」
「髪の毛もずいぶん伸びよったなぁ」
「そうだね」
「うちが切ったろか?」
「切れるの?」
「馬鹿にしたらあかんで。 これでも手先は器用なほうや」
「じゃ、切ってほしい」
「よし。 ほな、用意するわ」


・・・・・・。



彼女は座って待っている。

 

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「そら。
わたし、うれしいよ・・・。
お母さん、髪切ってくれるって」


そこへ、手に大きな布と、光るとがった物を持って女が現れる。

 

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「テーブルクロスぐらいしかあらへんかったわ。
これ巻いて、髪の毛が服につかんようにせんとな」


彼女の首に布を巻きつける。


「大人しくしてるんやで」
「うん」
「でも、あんた、じっとしてるん苦手やからなぁ。
テレビでもつけとこか?」
「ううん。 この時間、おもしろいのやってないし」
「じっとしてられるか?」
「あ、ちょっと待ってね」


突然立ち上がろうとする。


「いきなり、これや・・・。
なんや? なんか、取ってきてほしいんか?」
「恐竜のぬいぐるみ、取ってくる」
「ええよ。
うち取ってくるから、座っとき。 どんなんでもええか?」
「うん、お母さんが好きなの持ってきて」
「そんなんあらへんけどなー」


出ていく。


・・・。


しばらく待つと、今度は手に生き物を持って現れた。


「こんなんでええかー」
「うん、わたしもそれ大好き」
「なんかあんたに似てたから、それにしたんやけどな。
それで、これをどないするん?」
「膝の上、置いてほしい」
「そっか。 観鈴ちゃんはぬいぐるみ眺めてたら、退屈せぇへんのやな」
「うん。 見てるだけでいろいろなお話が浮かぶから」
「あんた、ほんと子供やな~」


・・・・・・。

 

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「どれぐらい切ったらええ?」
「お母さんに任せるよ」
「そうかー。
ほな、観鈴が一番可愛らしく見える長さに切ろなー」
「うん」


さくさく・・・


「うちなー、美容師もええなぁって、思っててん」
「うん」
「さっくさっくっ、て女の子の髪切るねん。
切り終わったら、女の子はキレイになってんねん。 魔法みたいやろ?」
「そうだねー」
「オシャレのセンスはあると思うねん。 けどな、致命的な欠点があるねん」
「なに?」
「接客でけへん、うち、気が短いからなー。
いけすかん客とかきたら、全員五分刈りにしてまうねん。
たいがいはイケてるけど、時々五分刈りにされるねん。
そんな美容室通うか?」
「そんなところいや」
「せやろなー。
それにものごっつ機嫌が悪いときは、殿様ヘアーになるねん」
「鏡見て、殿様になってたら驚くねー」
「せやろ。
せやから、美容師にはならんかったんや。
あくせく走り回ってるほうが合っとるねん。
でも、今日だけはトップヘアーアーティスト神尾晴子がお送りするで」
「毎日でもいいよ」
「時々、殿様やねん」
「やっぱり今日だけ」
「冗談や、そんなことせぇへんよ。
大切に切るで、毎日でもなー。
女の子は髪が命や。 丁寧に丁寧にや」


さくさく・・・


「うーん・・・のど乾いた」
「呆れた子やなぁ。
なんで、切り始める前に飲んどかへんかったんや」
「これ巻いてると暑いんだよ。
そう、暑いんだ。 暑い~」
「動いたらあかん。 手元狂うやん」
「扇風機っと」
「こら、足伸ばすなっ。
扇風機つけたら、切った髪が吹き飛ぶやろ」
「うーん・・・暑くてクラクラ・・・」
「頭揺らしたらアカン! 頼むから大人しくしとってや・・・。
ほら、なんのためにぬいぐるみ、持ってきたんや?」
「あ、そっか。 恐竜さんいたんだ」
「いろんなことが思い浮かぶんやろ?」
「うん、恐竜にはロマンがあるから。
すごく昔の、すごく長いお話。
そして、ちょっとだけ悲しいお話。
今はもうどこにもいない・・・生き物たちの」


・・・・・・。


・・・。

 

「くー・・・」
「寝てしもた・・・。
そのほうが、動かんでええけどな。
さくさく~っと」


ざく。

 

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「わ・・・えらい切ってもた・・・。
このハサミ、お母さんもびっくり、プロの切れ味や。
調理ばさみやけどな。
うーん・・・これに合わせなしゃあないな・・・」


ざくざく・・・


「やば・・・今度は反対側が短くなってしもた・・・」


ざくざく・・・じょきじょき・・・


「これで左右の釣り合いはとれたんちゃうかな・・・。
ていうか、全体がごっつ短こなってしもとるやん!」


・・・。



「ん・・・あ・・・終わった?」
「あ、ああ、終わったで。
ていうか、終わってしまった、というべきか・・・」
「鏡見せてー」
「か、鏡か? せやな・・・後で見せたるわ」
「後って、いつ?」
「半年後」
「わ、どうして・・・今すぐみたい」
「しゃあない・・・わかったわ・・・。
でもうちを恨みなや。 切れ味の良すぎたハサミを恨みや」
「うん?」


・・・。

 

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「わ・・・すごく短くなってる」
「あははー・・・ごめんやで」


・・・・・・。

 

「でも、いいかもしんない」
「そうか? せやな。
えらい幼く見えるけど、あんたらしうてええかもしれへんな」
「なんか小さな子供に戻った気分。 お母さんの子供」
「・・・・・・せやな。
ここからやり直そ。 ふたりでやり直そな」
「また今日からがんばる、わたし」


誰に向かってでもなく、彼女は言った。



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「ここからスタートだね。 ぶぃっ。 にははっ」

 

・・・・・・。


・・・。

 


「あのね、ずっとね、夢見てたの、悲しい夢。
それは、ずっと続いてるの」

 

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「夢なんやろ? そんなん忘れたらええやん」
「忘れられないの。
だって、それはわたしの記憶だから・・・」
「夢が記憶? 夢と記憶は別やで」
「そうだけど、そうじゃないの。
わたしは今、ここにいるけど・・・。
もうひとりのわたしは、ずっと空にいるの。
その子の記憶を、わたしは夢に見てる」
観鈴ちゃんは想像力が豊かやなぁ」
「ううん、ほんとだよ。
ぜんぶ、ほんとのこと。
それでね、その記憶を思い出してゆくと、わたしは調子が悪くなってゆくの。
それはきっと、その子が悲しい思いをしたせい・・・。
絶対に忘れられないぐらい、辛い思いをしたせいなの」
「そんなん忘れるようにしたらええやん。
うちが楽しいこといっぱい考えて、いっぱいさせたる。
そうしたら、観鈴は現実だけ見て暮らしてゆける。
そんなおかしな夢なんて、忘れて生きていける。
な、それで安心やろ?」
「そんなんじゃダメ」
「なにがあかんのや?」
「ちゃんとその夢と向かい合ってあげないと。
じゃないと、結局、繰り返しになってしまうから」
「なんや、繰り返しって?」
「ええとね・・・夢の中のわたしは、ひとりじゃないの。
何人も何人も、悲しみを受け継いでしまっている。
じゃないと、わたしは・・・わたしたちは、こんな繰り返しの中にいない。
こんな悲しみ続かない。
だから、うまく言えないけど・・・。
わたしが終わらせるの、その悲しみを。
どうしたらいいのか、まだわからないけどね。
でもきっと、その夢を見続けたらわかるはず。
わたしがなにを背負って、今もこの空にいるのか。
それは誰もできなかったこと。
今までわたしだった人たちが、誰もできなかったこと。
だからね・・・わたしが、やらないと。
もう、不幸なのは、わたしで終わり。
次からは、幸せになれるように、わたしがんばるの。
・・・・・・にはは。 自分でもよくわからないんだけどね・・・」
「・・・・・・。
なあ観鈴。 ひとつだけ聞かせてや」
「うん。 いいよ」
「あんたはどんな夢を見とるん?
あんたをこないにしてしまうぐらい悲しい夢って、どんなもんなん?」
「ええとね・・・それは秘密」
「うちには言えんってことなん?」
「うん」


女はしばらく何も言わずに、彼女のことを見ていた。

そして言った。


「そか・・・。
よし、わかった。
大丈夫や、あんたはどんな夢見ても気にすることない。
あんたはうちが幸せにしたる」


女が彼女の頭を胸に抱いた。


「なんも心配せんでええ。
あんたがしたいことを思いっきりしたらええ」
「うん・・・」


・・・・・・。


「あのね、お母さん」
「なんや?」
「お腹すいちゃった」
「まだ夕飯には早いで?」
「でも、ぐぅぐぅいってる」
「そっか。
よし、ほなうちがおやつ作ってきたる。
どんなんが食べたい?」
「うーんとね、卵がいっぱい余ってたと思うから、パンケーキ」
「よっしゃパンケーキやな」
「作り方わかる?」
「なめたらあかんで。 パンケーキぐらい足でも作れるわ」
「すごいね、でも、やめてね。
お母さんだったら本当にやりそうだから」
「大丈夫や。
観鈴に食わせるもん、そない粗末に作らへん。
ほな、待っとりや~。 サクサクッと作ってくるからな」


女が彼女の頭に手を置いた後、立ち上がり、その場を後にした。


・・・・・・。


静かになる。


「・・・・・・」


ぽん、と僕の頭に手を置く。

 

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「往人さん・・・。
わたしはまだ、夢を見てるよ。
いろんなことわかってきた。
昔のわたしたちが、どれだけ悲しい思いをしてきたか・・・。
今はそれを見てる。
夢はどんどん、昔にさかのぼってる」


独り言のように、彼女が喋っている。


「だから、もうすぐわかるよね・・・。
空のわたしが背負ってるもの。
そうすればきっと、その子を助けてあげられる。
わたし、がんばるからね。 お母さんと一緒に」


・・・・・・。


・・・。

 

「できたで~。 ほい」


皿を彼女に手渡す。


「おいしそう」
「せやろ?」


ぱくっ・・ぼりぼり。


「おいしい。 でも、どうしてビスケットになってるのかな」
「あははー、膨らまんかったんや。
そのままオーブンで焼き続けたら、ビスケットになってもた。
うちもびっくりや」
「うん、それはびっくりだねー」


ぼりぼり・・・。


「なにが足らへんかったんかな。 ようわからんわ」
「でも、おいしいからいいよ」
「そうか。 そらよかったわ」


彼女が僕の前にそれを差し出す。


「そらも食べる?」


彼女が食べているものなら、僕も一緒に食べたかった。


ぱくり。


「食べた。 にははっ」


ぼりぼり・・・。


「お尻ふりふりして食べてる。 かわいいー」


・・・・・・。


穏やかに流れる時間。

ふたりの関係は以前とは違う、暖かなものになった。

ずっと敵だと思っていた女。

まだ彼女とどんな関係にあるかはわからなかったけど・・・

それでも、今は許せる。

女がそばにいることで、彼女の心は安らいでいる。

それだけはわかったから。


・・・・・・。


・・・。

 


「あのね、お母さん」
「なんや」
「そこにいて」
「いるで」
「うん、じっとしてて」
「じっとしてるで」
「うん、そのまま」
「そのままやで」
「・・・・・・お母さん、しわ、多くなってきたね」


とことこ。


ぽかっ!


「イタイ・・・」
「んなこと言うために、じっと見とったんかいっ」
「にはは・・・冗談。 お母さん、若いよ」
「フォローにしか聞こえんわ」
「そんなことないよ、ほんと。
授業参観のときとか、みんなのお母さん、おばさんだったから、わたしひとり嬉しかった」
「でもあんた、あんとき、答え間違えて、泣きべそかいてたやんか」
「んー・・・カッコイイとこ見せないとって思って・・・。
そうしたら普段、わたし手あげたことないから、先生もびっくりして、当てたんだと思う」
「自爆やな・・・。

あれやったら、答えんほうがマシやったわ」
「どうして、そんなこと言うかなぁ・・・わたし、がんばったのに」
「うそや、うそ。
わかっとったで、観鈴、頑張ってくれてた」
「でも、あの後、みんなの前で、殴りにきた・・・」
「それはあんたが、あの口癖いうからや。
しつけやからしゃあない」
「うん、おかげで観鈴はこんなに立派に育ちました」
「せやな。
結構、成長したな、うちにきてから。
治らんのは、あの口癖だけやな。
でも、さっき殴ったとき言わんかったな。 いつも言うのに」
「また成長したの」
「せやな。 いつまでも子供でいられへんもんな」
「うん、そうやねー」
「べつにかわいいからええけどなー」
「・・・お母さん」
「ん?」
「お母さんは結婚しないの?」
「なんや、やぶからぼうに」
「お母さんみたいなのを、いき遅れって言うんじゃないの?」


とことこ。


ぽかっ!


「イタイ・・・」
「まだまだこれからやっ」
「うーん、そうしたら、そういう気はあるんだね」
「もちろんや。
ほんまは、ずっとなかったけどな」
「そうなの?」
「なかったけど、最近そういうのもええんちゃうか、思えてきたわ。
でもまだ、あんただけでええけどな。
家族増やすんは、もっと先や」
「家族増えたら、もっと楽しくなると思う」
「なるやろけどな。
今は、あんただけでうちは十分や。 十分楽しいで」
「そうなんだ・・・」
「そうやで」


・・・。



「じゃ、そろそろ寝るね」
「ああ、そうし」
「最後にお母さん、笑って」
「なんでや。
けったいなこと言う子やな。
寝られへんのやったら、子守唄でも歌(うと)たるで」
「ううん。 笑ってくれればそれでいい」
「けったいな子やな、ほんま。 ほな、笑うで」
「うん」
「おほほほ・・・」
「お母さんは、そんな上品な笑い方しない」


とことこ。


ぽかっ!


「イタイ・・・」
「うちの笑い方は下品やいうんかっ」
「そんなこと言ってない・・・。
でも、自然に笑ってほしい。 今の、作ってたもん」
「せやな、バリバリに作ってたわ。
でも、笑えいうても、なかなか笑えんで」
「そうかな・・・わたし、笑える。 にははっ」
「あんたは、特殊や」
「うーん・・・じゃ、楽しいこと思い出して」
「楽しいことか・・・」
「うん、楽しいこと」
「ほな、あれや」
「あれ?」
「あんたが小さいときや。
こっちに遊びにきてたときに、かりんとうと間違えて・・・」


・・・。

 

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「ぶわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはーーーっ!!」
「なんか、ひどい・・・。
でもお母さんの笑顔見れたからいいや」
「わっはっはっはっはっはっはっはっはっーーーっ!!」
「お母さん、もういいよ」
「だっはっはっはっはっはっはっはーーーっ!!」
「ひどすぎ・・・」
「はっ・・・冗談や、冗談、笑いすぎやったなぁ。
・・・・・・ぷっ」
「もう寝る」
「ああ、おやすみや。 ゆっくり寝や」
「うん。 おやすみ」
「おやすみ」
「ぶいっ」
「ぶいっ」


・・・・・・。


・・・。

 



8月5日(土)

 


「おはよう、そら。
・・・いないのかな・・・」


つんつん。


その手をつついてみた。

 

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「あ、いた」


彼女は僕の体をやわらかくつかむと、顔の前まで持ってきた。


「夢を見たの。
とても不思議で、とてもきれいな夢。
知りたい? でもね、秘密。
往人さんが言ってたの。
二人の心が近づけば、二人とも病んでしまうって。
二人とも助からないって。
わたしの夢は、誰かに話しちゃいけないんだよ、きっと。
だからね、お母さんにも言えないの。
お母さんがわたしみたいになっちゃったら、困るから。
往人さんみたいに、いなくなっちゃったら、困るから。
・・・ねえ、そら。
あの時ね、往人さんはわざと、わたしを嫌いになろうとしたの。
往人さんはすごくいい人だったから。
わたし、今なら往人さんの気持ち、わかるよ。
わたしもお母さんを嫌いになろうとしたから。
でもね、そんなの無理だった。
往人さん、今頃どこにいるのかなあ。
きっといつか、戻ってきてくれるよね。
往人さんが、人形だけ置いていくはずないから。
ね、そら」


僕の頭を撫でる。

それから、両手を思いきり上に伸ばす。


「8時10分前、お母さん、まだ起きないね。
もう一回寝よっと。
・・・あれ? 足音がする・・・」


入り口が開き、あの女が現れた。

 

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観鈴ちん、おはようや~」
「わっ。 お母さんすごく早起き」
「朝食や、今日は豪華やで。
さっきな、朝市に行ってきたんやで。
新鮮なお野菜たっぷりのお味噌汁とお魚や。
どや、うまそうやろ」
「うん、いい匂い」
「せやろ、せやろ。
なんていう名前の魚か知らんけどな、ええ感じで焼けてるやろ。
食べてみ」
「うーん、小骨多い」
「しゃあないな。 うちが取ったる」
「うん」
「こうやって取るんやで。 むむ・・・」
「おかあさんもヘタ」
「この魚、骨多すぎるんやっ。
複雑骨折したまま泳いでたんちゃうか。
ごっつ根性ある魚やで、きっと」
「そんなわけないよ」
「せやな、んなわけないわなー。
アホなこと言うとらんで、冷めんうちに食べよ」
「うんっ」
「うちらラブラブやから、うちが食べさせたるな。
ほら、あーんし」
「親子でもラブラブって言うのかな・・・」
「はよ口開けんと、キスするで」
「わっ・・・あ、あーん」


ぱくっ。


「どや、うまいやろ」
「おいしいけど、骨だらけ・・・ちゃんと選って食べさせて」
「うるさい子やなっ。
赤ちゃんみたいに、いっぺんうちが咀嚼したの食わせたろかいつ」
「わっ・・・あ、あーん」
「そや。 黙って食うとき」


女は彼女の口に、次々と食べものを運んだ。

二人とも、とても幸せそうだった。


・・・・・・。


・・・。

 


「入るで、観鈴
「うん」


女が入ってきた。


「なんや、あんた暇そうやな」
「にはは。 あんまりすることないから」
「ほな、トランプでもしよかー」
「でも、お母さん仕事」
「そんなん、気にすることあらへん。
あんたの相手するんがうちのいちばん大切な仕事や」
「でも・・・」
「ごちゃごちゃ言わんと、はよ配り。
ベッドやとやりにくいな。 床でやろ」


彼女の身体を持ち上げて、地面に降ろす。


「なにしよかー? 七並べか、ババ抜きがええかなー」
「それ、二人でしても面白くないよ」
「ほな、あんたが好きなんでええよ」
「それなら、いちばん簡単なのにしよ」


彼女が札を地面に置いていく。

それを二人でめくっていく。

札はだんだん少なくなって、二人は笑い合う。

そしてまた、札を床に並べる。

何度も繰り返していた。


・・・・・・。


・・・。

 


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「またわたしの勝ちー」
「またうちの負けかいっ。
はぁ・・・あんた、こういうのほんまに強いな。
何度やってもかなわへん」
「わたし、トランプだけは得意。
ずっと前から、ひとりでトランプしてたから」


女の顔が、少しだけ悲しそうになった。


観鈴ちんはほんまにトランプ好きやなあ」


彼女の頭を撫でながら、言った。


「なんかね、手を動かしてると安心できるの。
誰かがそばにいてくれるような気がする」
「そんなこと言わんでも、今はうちがおるやろ」
「そうだね。 お母さんがいる」
「・・・・・・。

なあ観鈴。 あんた、足はまだ動かせへんの?」
「うん・・・」
「そか、まあ、焦らんでええ。 休んどればきっと治る」
「そうだといいね。
手が動かなくなったら、わたし困るな。
トランプ、できなくなるから」
「あほっ。 そない景気悪い話、せんでええ」
「怒られちゃった、にはは」


彼女が笑った。

女は四角い空の色を見た。


「・・・なんや、もうこんな時間か。 全然気づかんかった」
「わたしも。 楽しいと、時間が経つのが早いね」
「せやな・・・。
な、観鈴。 一緒に風呂入ろか」
「うん? お風呂?」
「せや。 ふたりで仲良く入るんや」
「いいよ。 昨日入ったし」
「あほ。
女の子は毎日入って、いつも石鹸のええ匂いさせてるもんなんや。
ほら、いくでっ」


彼女をかつぐようにして、立ち上がらせる。


・・・・・・。


・・・。



「うーん・・・」
「どしたん」
「この歳でお母さんと一緒にお風呂入るのって、すごく恥ずかしい」
「大丈夫、うちも素っ裸やで。 裸の付き合いや~、ほれ、ほれ」


ぷにぷに。


「わ、へんなところで背中擦ってるっ」
「こうすると、男のひとは喜ぶんやで」
「わたし、女の子」
「ええやん。 喜んでや」
「気持ち悪い・・・ちゃんとスポンジで洗う」
「ええ、ええ。 うちが洗(あろ)たる」
「背中だけでいいよ」
「遠慮せんでええで。 どこもかしこもうちが洗たる」


ぷにぷに。


「わ・・・さっきから、胸ばっかり洗ってる。
しかも・・・ほとんど素手・・・」
「ええやん。 こうしたら大きなるんやで」
「大きくならんでいいもん」
「もったいないこと言いな、大きなるんやったら、大きしよ」
「うーん、いいのに・・・」
「ほら、股開きや。 太股の間も洗わんとなー」
「そこは・・・自分で洗う・・・」
「ええやん。 お母さんうまいで」
「ヘタでも自分で洗う」
「そうか、残念やなぁ」
「じゃあ、そら洗ってあげてよ。 脱衣所にいると思うから」
「あのカラスかいな。
カラス、洗(あろ)てもええんかいな。
洗うて、白なったらビックリやな」
「それはびっくりだけど・・・」
「そうや、漂白剤つけて洗たろ」
「わ、そんなのダメっ」
「キレイになるし、不吉やなくなって、一石二鳥や~」


嫌な予感がする。


ばっさばっさ!


僕は慌ててその場から逃げ出した。



・・・・・・。


・・・。

 




8月6日(日)

 

 

 

「おはよぅさん」
「おはよう、お母さん」
「調子は・・・どない」
「変わりないよ」
「そか・・・よかった。
って、よくないか・・・。 よぅなってへんのやもんな。
・・・なあ、あんた、今日も夢見たんか?」
「うん」
「あんたの見てる夢ってな、どんな感じなん?」
「・・・・・・うーん、言えない」

「なんや、観鈴ちんのイケズ~」
「うん、イケズなの」
「本当はごっつエッチな夢見とるんやろ?」
「教えない」
「・・・なあ。ヒントだけでも教えてや」


真面目な顔だった。


「うちも今朝、夢見たんや。
子供の頃のあんたと、一日中遊ぶ夢や。
いい夢すぎて、起きた後もしばらくぼーっとしとったぐらいや。
でもな、あんたが同じ夢を見ることはできひんやんか・・・。
うちな、不安でたまらん。
あんただけが悲しい思いしとるやなんて、自分で許せへん」
「うーん・・・悲しい夢とは限らないよ。
怖い夢も見たし、寂しい夢も見た。
不思議な夢も、気持ちいい夢もあったよ」
「ほな、毎日悪夢を見とるわけやないんやな。
ちょっとは安心したわ」
「うん・・・」
「なんや、歯切れ悪いなあ。
ほな、こうしよ。
あんたは当たりかハズレか言うだけでええ。
なっ、それやったらええやろ?
夢にはあんたしか出てこぉへんの?」
「ううん」
「ほな、誰かと一緒におるん?」
「ううん」
「中途半端な子やな。 どっちかにし」
「だって、両方あるから」
「なあ、ちょっとだけでも教えてや。
今日見た夢でなくても、ほんまにちょびっとだけでもええから」
「うーん・・・」


とても長い時間、彼女は困っていた。

そして小さな声で言った。


「例えばね、お祭りの夢。
みんなで火を囲んで、すごく楽しそうで・・・」
「なんやそれ。 全然悲しないやん」
「でもわたし、遠くから見てただけ」
「・・・かぁ~っ、あんたって子は。
せっかくのお祭りなんやで。
金魚すくったり踊ったりタコ焼き食ったりせなあかんやろが」
「にはは。おかあさん、往人さんと同じようなこと言うね」
「そか・・・」
「夏祭り、もうすぐだよね」
「あ・・・せやな・・・。
夏祭り近いやんか・・・忘れてたわ・・・」
「うん、来週の日曜。 お母さんと一緒に行きたいな」
「そうか・・・やっといけるんやな、あんたと・・・。
よっしゃ。 絶対、連れてったる」
「約束してほしいな・・・」
「ああ、したる。
なにがあっても、あんたとうち、夏祭りにいく。
それで・・・そこで、なんでも欲しいもん、買うたるわ・・・。 な、貰ろてや」
「うん、楽しみ。 にははっ」
「そか・・・よかったわ・・・。
ほんま、よかった・・・」


女が安心したかのように、ゆっくりと息を吐いた。


そこへ・・・



リリリリリリリリリリ・・・



耳障りな音。


「あ、電話や。 出てくるわー」
「うん」


女が出てゆく。


「お母さん、仕事休んでるし、会社のひとからかな。
ちょっと心配・・・。
そら、様子見てきてほしいな」


肩から、地面に降ろされる。


「おねがい」


女が出ていった方向を指さしていた。

女の後を追えという意味なのだろうか。


てこてこ・・・


「そらのお尻、やっぱりかわいいー」


僕はその方向に向けて歩き出した。



・・・。

 


「なんや、あんたかいな・・・。
べつに、そんなことあらへんわ。
そうか・・・んなことあらへん。
あの子は元気やで。
へんな勘ぐりすんなや。
・・・気が向いただけや。
家族ってええもんやなぁって、それに気づいただけや。
もうええやんか。
あの子は、こっちが好きみたいやし。
話はぜんぶそっちでつけてきたつもりや。
違うわ、うちはちゃんと返事もらったつもりやで。
もうこっちには用はあらへん。
・・・待ってやっ・・・。

今、どこにおるんや・・・。
はぁ? どこのや・・・。
あほぅ、すぐそこやんかっ。
こんな時になにしにきたんやっ。
・・・・・・べつに、なんも隠してへん。
ただ・・・忙しいだけや・・・。
今は・・・なんや・・・あの子がちょっと風邪こじらせとるから、休んどるだけや・・・。
あほぅ、大したことないわっ、こんでええっ。
あんたに出す茶なんかないわっ。
・・・・・・」



つー・・・



「なにしにきくさったんや、あのアホは・・・」


女は彼女の元に戻らない。

外に向かって歩いてゆく。

彼女をひとりにすることは心許なかったが、彼女の希望だと思ったから、その後を追うことにした


・・・・・・。


・・・。


 

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「なんや? あんたもいくんか。 ほな、肩に乗り」


ぴょんと、飛び乗る。


「って、今から人と会うのに、ヘンに思われるやろーっ! 降りろっ」


降ろされる。


「なんか観鈴見とったら、あんたを肩に乗せるんが自然に思えてしもたわ・・・。
ったく、不吉やでーっ」


女は早足で歩いてゆく。

僕も続いた。


・・・・・・。


・・・。

 


「はぁ・・・おはよーさん」


女の先・・・見知らぬ男が立っていた。



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「やぁ、元気かい」
「元気やで。ブリブリや」
「はは、相変わらずおもしろいひとだね」
「そらなぁ・・・。
あの姉貴に比べたら、うちはヘンなところ多いからな。
あんたにはおもろいやろ」
「別に悪く言ってるわけじゃない」
「馬鹿にされてるようにしか聞こえへんわ」
「・・・・・・」
「で、どしたんや。 いつ帰ってきてたんや」
「最近はちょくちょく戻ってきてるよ」
「そうかー。 忙しいんやろ? またすぐに出てくるんかいな」
「それはわからない。 こっちの問題が片づき次第といったところかな」
「そうか。 なんか用があるんやな」
「ああ」
「どしたん」
「直接、出向こうとしてたんだけど・・・」
「ここのほうがええわ。

あんたなんか、家に入れとうない」
「そんなところも変わってないな。
そんなんじゃ、まだひとりだろ」
「好きでひとりでおんねん。 放っといてや」
「さっき電話で、家族を持ちたいようなこと言ってなかったか?
その気があるんだったら、見合い写真でも作りなよ」
「ケツの穴、写した写真やったら、作ったるわ。 面白そうやしな」
「あなたは、黙っていればまともに見えるんだ。
引き合わせるまでは世話できると思う」
「ケツの穴の写真で、会ってくれる奴が、あんたの知り合いにはおるんかいな。
あんたの知り合い、やばいで」
「・・・・・・」
「なんや、泣かへんのやなー。
子供んときは、よう姉貴に泣きついとったのになー」
「昔の話だ。 晴子、自分ひとりが馬鹿に思えてこないかい」
「うちからすれば、あんたがあほに見えるわ。
あの頃はそれなりに楽しかった思うけどな」
「仕事は何をしている?」
「気持ちのええ仕事や。
金払うんやったら、あんたもオッケーやで、サービスしたるわ」
「はぁ・・・」
「あほ、冗談や。イヤラシイ目で見んとってや」
「哀れみの目で見てたんだ」
「そこまで落ちぶれてへんわ」
「近況はわかったよ。
僕が考えてるほどに、あなたは現状を悲観していない、とそういうことだ」
「そや。 退屈やけど、このまんまでええわ」
「そうか、それなら・・・。
あの子を連れて戻るようなことになってもいいんだね。 安心したよ」
「・・・・・・ちゃうわ・・・。
うちはこのまんまでええ、言うたんや。
観鈴とふたりの生活がええんや」
「ひとりに戻るのは嫌かい。
だから、世話をするって言ってるんだよ」
「なぁ」
「うん?」
「うちは、便利な奴か」
「どういう意味だい」
「邪魔なうちは、預けておけて、思い出したら引き取りにこれる。
そんな便利な家か。 神尾の家は」
「誤解しないでくれ、その点に関しては、感謝してる」
「感謝してて、今までほったらかしかいな・・・」
「いろいろあったんだ」
「ぜんぶ、自分の都合やないか・・・」
「本当に感謝してるんだよ、晴子。
でもね、あの子は、僕の子なんだ。 僕と郁子の」
「そもそも、自分らが子供なんかをっ・・・」
「なんだい」
「いや・・・なんでもあらへん・・・。
とにかくやっ・・・、そのことは、承諾得たやろ・・・。
観鈴は・・・うちの子、神尾の子にする」
「それはあなたが勝手に決めただけだろう。
留守の間に実家に押しかけて、僕の親に無理やり承諾を得て帰った」
「無理矢理やない」
「家の前で、一週間以上も居座られて、そのままじゃああなたが倒れると思ったから、その場しの
ぎで親が承諾したんだ。
それは僕の承諾じゃない。
だから、改めて話を聞くために、こうしてわざわざ出向いてきたんじゃないか。
ここは暑くてかなわないな。 どこか涼しいところに入ろう」
「女引っかけてるつもりやったら、ひとりでソープでもいきや」
「待て、晴子」
「あ、そや、それとな。
あんたの標準語聞いてると、気持ち悪ぅなってくるわ」
「・・・・・・」


女が振り返り、男の元を離れる。

その先に僕はいた。

 

・・・。


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「あんた、おったんかいな。
暑いやろ、あの子のそばに戻ろな」


ひょいと抱え上げられる。


「って、カラスは暑いとかそんなんないんか。
ていうか、あんた、ごっつ黒いな、黒っ!
そないに黒いと、熱の吸収率よすぎるんとちゃうか。
こんな日に外出てたら、すぐにかんぴんたんになってまうで。 はよ帰ろ」


・・・・・・・。


・・・。



「あ、あのおばさん、カラス抱いて歩いてる。 死神みたい~」



「おばさんでもないし、死神でもないわっ!
はぁ・・・なんでこんなこと言われなあかんねん。 あんたのせいやで」


・・・・・・。


「でも、あんた、あの子のそばにずっとおってくれたんやろ? おおきにな。
うちがおらん間にどんなことがあったのかはわからんけど・・・。
あの居候がいなくなって、あの子が本当にひとりになってしまう時にそばにいてくれたんやろ。
ほんま、おおきに。
けどな・・・うちに渡されたバトン・・・。
それはまた、誰かに渡さなあかんのやろか・・・。
うちは、アンカーと違たんやろか。
最後まで走ったらあかんのやろか。
な、どう思う」


つんつん。


「頑張れ、言うとるんか?
それとも、諦めろ、言うとるんか?」


つんつん。


「あほ・・・どっちかわからんわ」

 

・・・・・・。

 

彼女の元に戻ってきてから、しばらく女は黙っていた。

 


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「お母さん、元気ないね」
「うちかて、ブルーになることあるわ」
「わたしのせい? だったら、ごめんね・・・」
「ちゃうわ、あほ。
観鈴が謝ることなんてこれっぽっちもあらへん。
・・・・・・」


再び黙り込む。


・・・・・・。



「あのな、観鈴
「なに、お母さん」
「橘の家、帰りたいか?」
「ううん、ここにいるよ、ずっと」
「でもな・・・あっちが観鈴のほんまの家や。
ほんまの家族があって、ほんまの暮らしがある。
それでも、こっちを選ぶ言うんか」
「わたしの本当の家は、ここ。
家族って、そんなものだと思う。
一番、自分がいて幸せな場所。
そこがわたしの家。
血が繋がってるかどうかなんて、関係ないよ。

わたしが一番いたい、この場所。
ここがわたしの家。
そして、ずっとそばにいてくれる人が、家族、だと思うよ」
「そうか・・・」
「うん」


・・・・・・。


また黙り込む。

今度は彼女が先に口を開いた。


「お母さん、何か話して」
「話かー・・・どんな話がええ?」
「楽しい話」
「笑える話やったら、あんたのドジ話やなー。 ごっつ笑えるで」
「自分の話聞いても、おもしろくないよ」
「そうか? ほな、どないしよ・・・」
「お母さんの話」
「うちのか?」
「うん」
「うちの話でおもろい話なんかあらへん」
「おもしろい話じゃなくていいよ」
「最初の男に、ケツの穴に入れられた、とかそんな話やったら仰山あるで」
「なにそれ?」
「今のは冗談や・・・意味わからんでええ。
せやなぁ・・・ほな、あんたが小さかった時の話したろ。
あんたも覚えてへんような昔の話や」
「うん・・・」
「初めて会ったんは、まだあんたが赤ちゃんの頃や。
姉貴が子供作ったいうから、冷やかしに行ったってん。
暇やったし、あんときは、近くに住んでたからな。
あんた、猿みたいやったわ。
姉貴が可愛い可愛いて繰り返すから、なんか腹立ってきてな。
鼻の頭を押し上げて、ほんまの猿顔にしたろ思てん。
そんで指伸ばしたら、あんたそれを口にくわえよったんや。
それをな、あんた、ちゅっぱちゅっぱ吸うねん。
びっくりしたわ、指が痛なってまうくらい吸うねんやから。
なんか小さい体やのに、頑張ってるんやなぁ、思たわ。
で、あんまり吸い続けるから思い切り押し込んで喉ついたったら、あんた、わんわん泣き出して、
姉貴に叱られたけどなー。
ごっつおもろいわ・・・って、うちだけか、おもろかったんは・・・」


すーすー・・・


「それが、こんなに大きなって、うちの子になるやなんて、思ってもみんかったわ・・・。
姉貴がおらんなって・・・親があの甲斐性なし亭主ひとりになって・・・。
ずいぶん長いこと連絡もなかったのに、いきなり現れて・・・この子、預けていって。
あの夏祭り以来・・・」


・・・・・・。

 

――『ママ・・・ママ、どこ・・・』

――『ここにいてる。
けどな、うち、ママとちゃうねん。
せやから、そんな呼び方せんといて
晴子や。 は、る、こ』

――『晴子おばちゃん』

――『誰がおばちゃんじゃっ』


ぽかっ。


――『が、がお・・・』


・・・・・・。


――『あれ、おかあさん? おかあさん、どこかなー』

――『ここにいてる。 せやけど、お母さんと違うて言うとるやろ』

――『・・・おかあさん』

――『・・・違うわっ』

 

・・・。


慣れるまでごっつ時間かかったわ・・・。

せやけど、おばちゃん言われるより、ましか・・・

飯だけ食わせて、放っとこ思たら、あのかりんとう事件や。

姉貴のあほはどんな育て方しとったんか・・・

しつけだけはしたらな、あかんな、思うようになって・・・

せやけど、この子が普通の子やないとわかってきて・・・

それでも泣いた後、すぐに笑顔で元気になるこの子見てたら、可愛いなって・・・

でもこの子は他人の子やし、元気になったら、すぐにも連れてかれる思て・・・

もともと生活の時間帯が合わへんかったから、そのまま時間だけが流れて・・・


・・・・・・。

 

 

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「頑張って、取り戻そな。 ・・・ふたりの時間」


・・・・・・。


・・・。