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-ノベルゲーム・タイピング-

《8bit》Steins;Gate 変異空間のオクテット【2】(終)

このブログはゲームのテキストを文字起こし・画像を投稿していますので、ネタバレを多く含みます。

読んで面白いと思ったら購入し、ぜひご自身でプレイしてください。

ご意見・ご要望がありましたら
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Twitter─ @Zippydle_s
まで連絡下さい。


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・・・。

 

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はぁ、やっとラボの前までたどり着けた。

色々遠回りをした挙げ句、大した成果が得られなかったせいで、どっと疲れが出てきた。

この大檜山ビルは、秋葉原の外れにある小さな雑居ビルだ。

我が"未来ガジェット研究所"はこの2階に居を構えている。

ちなみに1階は、ブラウン管専門ショップ"ブラウン管工房"

駅で会った天王寺が店主をしている。

ヤツはこのビルのオーナーでもある。

 

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天王寺父娘が駅にいたから、当然ながら工房のドアには"ただいま外出中"の張り紙がしてあった。



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「あ、オカリンだ! トゥットゥルー」


ビルの前で、ラボメンナンバー002、椎名まゆりが1人でウロウロしていた。

しかも、なぜかあまり元気がなく、足許ばかり見ている。


「どうした?」
「うん、あのね、おばあちゃんにもらった"カイちゅ~"、落としちゃったみたい・・・。 ずっと探してるんだけど、見つからないの。 オカリンは見なかったー?」


"カイちゅ~"とは、古くさい懐中時計のことだ。

まゆりの祖母の形見であり、いつも肌身離さず持ち歩いている。


「カイちゅ~さん、カイちゅ~さん、出ておいでー」


まゆりに懐中時計を差し出した。


「わわー! "カイちゅ~"さん出てきた! オカリンすごいねー。 これはミラクルだよー」
「いかにも。 俺は過去から未来まで見通す男。 "カイちゅ~"がどこにあるかも簡単に分かるのだ。 そう、俺が、俺こそが、狂気のマッドサイエンティスト。 さあまゆり、俺の名を言ってみろ!」
「オカリンありがとー! まゆしぃはね、オカリンの人質でよかったぁ」
「・・・・・・」


いやそうじゃなくて、そこは"キャー、鳳凰院凶真様!"みたいな感じでだな・・・。

だがまゆりは、戻ってきた"カイちゅ~"に嬉しそうに頬ずりしていて、俺の無言の訴えにはまったく気付こうとしなかった。

まあ、"カイちゅ~"はまゆりにとってとても大事な物だからな。

取り戻せてよかった。


「トゥットゥルー♪」


うむ。

いつも通りだな。


「まゆりよ、ナイトハルトを見なかったか?」
「ええー? ないとはると? お菓子かな? それともRPGのキャラ?」
「食いしん坊&オタの発想しかないとは、それでもお前は女子高生かッ!」
「違うの? だとしたらね、まゆしぃにはよく分かんないよぅ」
「大きなダンボールを抱えている高校生ぐらいの男だ。 見覚えは?」
「あ、ああー! その人、見たことあるー」
「ほ、本当か!?」


なんという幸運だ!


「それで、いったいどこで?」
「んーとね、まゆしぃがここに来る前に、アニメイトで。 大きなダンボールとね、アニメイトの紙袋をたくさん抱えてたのー。 まるでコミマ帰りみたいだったよー。 えっへへー」


ヤツはおそらく25kgもあるIBN5100を抱えて行動している。

だとすれば必然的に、行動範囲はどうしても限られてくるだろう。

秋葉原周辺。

今もヤツは、そのあたりにいる可能性が高い。


「でかしたまゆり! 今度お前に、ドクペを3本おごってやろう! フゥーハハハ!」
「えぇー。 まゆしぃはね、炭酸は苦手だよぅ」


・・・。

 

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階段を上ってラボへ。

そこが、我がラボ――『未来ガジェット研究所』だ。

ドアには特に表記はないが。

と、実家のドアよりも見慣れた感のあるそのドアに、俺は激しく違和感を覚えた。

ラボのドアって、こんなドアだったか?

色も違っているような気がする。

見慣れたドアではあるが、こうしてじっくりと観察したことはなかった。

だから、実際のドアがどうだったのか、あまりよく思い出せない。

ただ、一箇所だけ明らかに、俺の記憶とは違うところがあるのは間違いない。

ドアの中心。

そこに、見たことのない円形のくぼみがあるのだ。

ドアのくぼみは、直径10センチ、深さ5センチほどだった。

そのくぼみを中心に、なにやらいろいろと配線が通っているが・・・。

いったいなんだこれは?

なにかカプセル状のものをはめ込めそうだが、なにをはめるんだ?


メタルうーぱをはめてみた。

 

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メタルうーぱがドアの凹みにピタリとはまった。

まさか、これが運命石の扉を開くキーアイテムだったのか・・・!


「・・・・・・」


だが、しばらく待っても特になにも起きる様子はない。

はめるだけじゃだめなのか?


俺は携帯電話を耳に当てる。


「俺だ・・・。 なに? 疲れた声をしている、だと? ああ、まあな。 正直、戸惑っているところだ。 ・・・ああ、どうやら俺は、信頼していた右腕に裏切られたらしい。 フッ、分かっていたことさ・・・。 結局、狂気のマッドサイエンティストという生き方は、誰にも理解してもらえないとな。 だが俺も、おいそれとこの反逆を見過ごすわけにはいかない。 ・・・ああ、ダルとは自分の手で決着を付ける。 それが、運命石の扉
の選択だ。 エル・プサイ・コングルゥ

メタルうーぱを回した。

 

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小気味良い「カッチッ」という機械音に続いてドアが開かれた。


・・・。


我が根城・・・未来ガジェット研究所。

人類に混沌をもたらす研究と実験を行っている。

あまり研究所っぽく見えないのが俺には不満だが、まあ居心地はいい。

しかし、このラボの設立者であるこの俺が、中に入るのにこれほど手こずるとは。

ドアを勝手に改造したダルには、しかるべき制裁を行わなければなるまい。

 

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「岡部、ドアは開くことができたみたいね」


紅莉栖がソファに座って、呑気に洋書を読んでいる。

部屋の奥では、ダルがPCの前に座って、エロゲをプレイしてい た。

なにも変わらない、いつもの光景だ。

この光景を取り戻すために、俺が血の滲むような戦いを繰り広げてきたことを、紅莉栖もダルも、それにまゆりも知らない。

だが少しげんなりする。

ダルが平穏にエロゲをプレイできるために俺はあんなに頑張ったのか、と考えるとな。

室内にはダルと紅莉栖がいる。

話しかけてみるか?


「おい、クリスティーナよ」
「・・・・・・」


無視か。


俺は幅のある身体を丸めながらPCの前に座っているダルを見た。

ラボメンナンバー003。

俺とは高校時代からの旧知の仲であり、相棒。

右腕。

超凄腕のスーパーハカーにして、三次元、二次元、有機物無機物問わず萌えの対象を見出すHENTAIマイスター。

橋田至――通称ダル。

俺が最も信頼する男――だったが、まさか裏切るとはな。

ラボを勝手に改造するという反逆行為は、断じて許されるべきことではない・・・!


「ダルよ、話があるから、エロゲをするのはよせ」
「あのドア、気に入った? 防犯能力カンペキじゃね? 僕の知り合いにわざわざ特注した甲斐があったお。 これで、僕の積みエロゲが盗まれる恐れは限りなくゼロに!」
「お前のせいで俺がここに入るのにどれだけ苦労したと思ってる!」
「でも仕様を決めたのはオカリンじゃん。 今さら文句言われても、知らんし」
「俺が!?」


いや、ある程度予想通りではあったな。

ダルが俺を裏切るとは思えないからだ。


「それよりオカリンオカリン、買ってきた? 例のブツ」


なんのことだ?

いや、そうか!

ダルめ、ようやく『司令官と副官の、主語を省いた思わせぶりな会話』をマスターしたのか。


「いいや。 どうやら、俺を拒絶するつもりらしい」
「おいおい、じゃあどうするんだよぅ」
「委員会はなんと言っている?」
「は? 委員会? なんぞ?」
「フッ、そうか。 まあ、好きに言わせておけばいいさ。 今はまだ、な」
「言葉の意味は分からんが、買ってないなら早く手に入れてこいっつーの」
「プランAはすでに破綻した。 プランBはなんだ?」
「知らんし。 とにかくフェイリスたんのCDを手に入れろって言ったじゃん」
「それよりバイト戦士の居場所を教えろ!」
「それよりってなんだお! フェイリスたんと普段、仲良さそうに固有結界発動させてんだろ! それなのにCD買わないとか、どんだけフェイリス儲をバカにするつもりだお! 絶対に許さない! 絶対にだ!」


ダメだこいつ・・・。

怒りで我を失っている。

 

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「なあダル・・・」
「あーあー聞こえなーい」


ダルは後ろを向いて、両耳をふさいでこれ見よがしにそう言った。

冷静に話を聞くためには、フェイリスのCDを手に入れるしかない。


鍵であるメタルうーぱをはめ込んで、俺はドアのロックを解除した。

この鍵の方式は、激しく面倒くさいな・・・。


・・・。

 

 

 

 

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「あ、オカリーン。 トゥットゥルー♪」


まゆりがブラウン管工房の軒先に置いてあるベンチに座って、バナナを食べていた。

手には"カイちゅ~"が握られている。


「まゆしぃはお外でおやつ中なのです。 風が気持ちいいよ~」
「まるで幼稚園児だな。 お前を見ていると、今の危機的状況を一瞬でも忘れられて、ホッとするよ・・・」
「ききてきじょ~きょ~?」
「いや、なんでもない。 なんでもないんだ。 なにも気にしなくていい。 お前はただ、いつものように笑っていてくれ」
「なんだかよく分かんないけど、笑ってればいいんだね? えっへへー」


・・・。

 

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「お帰りニャさいませ、ご主人様♪」


ネコ耳にメイド服という姿のフェイリスが、満面の笑みで出迎えた。


「ニャニャ! 誰かと思えば、"雷ネッター・フェイリス"の命の恩人、鳳凰院凶真様♪ ささ、どうぞゆっくりしていってニャ♪」
「フェイリス、お前のCD、1枚もらおう」


紅莉栖に借りた1000円・・・はもう半分使ってしまっているので、残りの残金をすべて差し出した。


「『ニャ、ニャんだって~!?-Oh my Cat-』」
「お前はなにを言っているんだ?」
「そういうタイトルなのニャ」

 

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これはひどい


「まいどありニャ。 応援してね♪ ニャンニャン♪」


フェイリスのブリッコ写真がジャケットになっている、痛々しい同人CDを受け取った。

ご丁寧にサインまでしてあった。

メイクイーン+ニャンニャン2を出てラボへと向かった。





「あ、オカリーン。 トゥットゥルー♪」


まゆりがブラウン管工房の軒先に置いてあるベンチに座って、バナナを食べていた。

手には"カイちゅ~"が握られている。


「まゆしぃはお外でおやつ中なのです。 風が気持ちいいよ~」
「まるで幼稚園児だな。 お前を見ていると、今の危機的状況を一瞬でも忘れられて、ホッとするよ・・・」
「ききてきじょ~きょ~?」
「いや、なんでもない。 なんでもないんだ。 なにも気にしなくていい。 お前はただ、いつものように笑っていてくれ」
「なんだか良く分かんないけど、笑ってればいいんだね? えっへへー」

階段を上り、ラボの前に来た。

鍵であるメタルうーぱをはめ込んで、俺はドアのロックを解除した。

この鍵の方式は、激しく面倒くさいな・・・。

ラボには相変わらず、ダルと紅莉栖がいた。

それぞれPCをやったり洋書を読んだりと、自分の世界に没頭しており、会話はない。


「おい、クリスティーナよ」
「・・・」


無視か。

・・・俺はダルにCDを渡した。


「っていうかなんで僕に渡そうとするん? オカリンが自分で聞くべき。 フェイリスたんを応援する意味でもな。 僕はすでに10枚買ったから」
「俺はあの猫娘のお遊戯になど興味はない」
「はあ!? フェイリスたんディスってんじゃねーぞぅ! つーか、オカリンが自分で買うって言ったんじゃん。 ダブスタにもほどがあるお」
「なに? 俺自身が、買うと言っただと?」
「フェイリス儲の僕が、オカリンに熱烈に薦めたんだお。 そしたら『分かった買って聞いておく』って」


この世界線の俺め、余計なことを言いおって・・・!


「分かった、聞いておく」


とりあえずそう言っておく。

今はフェイリスの『ニャ、ニャんだって~!?-Oh my cat-』について論じている場合ではない。

ハッ、そうか。

この世界線の俺も、今の俺とまったく同じように『とりあえず言っておいた』のだな。

ダル、迷惑なヤツ・・・。

ため息をついて呆れていたら、白衣のポケットが淡く光った。


「そこでダル、お前の娘はどこにいる?」
「は? 娘? 僕はいつの間に結婚して子供まで生まれてたんです?」
「いや、その・・・むす・・・『蒸すね』が口癖だった、阿万音鈴羽のことだっ」


・・・ふう、なんとかごまかせたぞ。

だが俺の問いに、ダルも紅莉栖も首を傾げていた。


「そんなエロゲヒロインいたかお? この僕がチェック漏れするなんて、ミスったお」

「もしかして、岡部の単なる脳内嫁、つまり妄想の存在なんじゃない?」

「だが『蒸すね』が口癖か・・・。 アリだな」


そうか、この世界線では、2人と鈴羽のことを知らないんだったな。

仕方ない、1人で探しに行くしかないようだ。

そうだ、ナイトハルトの情報も気になる。

ダルに聞いてみよう。


「ダル、ナイトハルトを知っているか?」
「え? ナイトハルトって、疾風迅雷のナイトハルト?」
「知ってるのか!?」
「ネット上ではちょっとした有名人だお。 『エンスー』っていうネットゲームのプレイヤーなのだぜ」
「素性は分かるか?」
「1年前さ、渋谷で地震あったじゃん? その数日前にテレビで起きたエスパー騒動って知ってる?」
「なんだそれは?」

「それミュウツベで見た」


なぜか紅莉栖が横から口を出してきた。


「あんときさ、渋谷って連続猟奇殺人事件で祭りになってたじゃん? その犯人をさ、自称エスパーの少年が透視するって噂が出てきたんよ。 でさ、テレビでゴールデンタイムに生中継したんだよね。 そこで出てきた高校生ぐらいの男が、噂によると疾風迅雷のナイトハルトだったって話だお。 でも結局、その生中継はグダグダになってさ、スクランブル交差点に集まってた野次馬が暴動寸前になったんだお」
「ダル、お前ならそのときの映像を持っているだろう?」
「つーかネットで探せば、簡単に見つかるんじゃね?」

 

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ダルに頼んで、当時の放送を探してもらった。

ナイトハルトと思われる男は、渋谷駅前のビル屋上に現れた。

夜ということもあって、まばゆい照明が捉えてはいるものの、はっきりと顔を識別することはできない。

だがなんとなくの雰囲気は分かった。

どちらかと言うと細身の、気弱そうな顔をした少年。

それが俺の感じた印象だった。


「こんなひ弱そうな男が、IBN5100の入ったダンボールを抱えて、アキバを歩き回っているのか・・・」


だとしたら相当目立つはず。


「おお! ダンボール抱えマンなら、僕も昼頃に目撃したお。 中央通りを歩いてた」


やはりな・・・。

俺は中央通りに向かった。





むっ、まずい。

正面から歩いてくるのは国家権力の犬、ポリスメンではないか。

くっ、ついに俺の居場所が知られてしまったか。

ここで捕まれば、マッドサイエンティストとしての牙を抜かれ、二度と娑婆の空を見られなくなる!(すべて妄想)

まだだ、まだ俺には、やることがある・・・。

俺は急いで回れ右をした。




 

ガード下は、真夏の暑い時期はここだけ少し涼しい気がする。

そう言えば以前、ダルがおもむろに"ガード下って萌えるよな。 線路を支える柱の無骨さとか"と、のたまっていたな。

奴はスーパーハカーとしての腕は確かだが、人としては終わっている。





それにしても、アテもなく鈴羽を搜さなければならないとなると、かなり骨が折れそうだ。

だが、間違いなくヤツはこの時代に来ているはず。

俺には確信がある。

イヤな予感がして仕方がない。

これも、運命石の扉の選択なのか・・・くそっ。

 

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ここを左に進むとUPXだ。





UPX1階のテラスに来た。

ここには飲食店が並んでいて、いつもいい匂いが漂ってくる。

俺は上にあがった。

 

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「あっ・・・」


UPX前まで来たところで、捜索対象者を発見した。

阿万音鈴羽が、しょんぼりした様子で歩いている。

なんという幸運!

いや、これはもしろ必然だったと言うべきだろう!

そうなるように世界の運命が収束したのだ!

これは決して俺の妄想などではないッ!


「見つけたぞジョン・タイター!」
「え・・・? ジョン・タイターってなに・・・?」


拍子抜けなアクションをされて、俺は出鼻をくじかれた。

こいつ、なんでこんなに元気がないんだ?

イヤな予感がする。

こいつは2036年からのタイムトラベラー。

ラジ館屋上にあったタイムマシンに乗ってきた、それは間違いない。

なぜなら、以前にも二度、別の世界線で鈴羽はタイムトラベルを敢行して俺の前に現れたからだ。

だがシュタインズゲート世界線に到達したことで、鈴羽がタイムトラベルしてくる必要も消えたはずだ。

なのになぜ、こいつがここにいるのか。

それが、ナイトハルトとかいう男となにか関係しているのか。

確かめなければならない。


「お前はジョン・タイターこと、阿万音鈴羽だろう?」
「あ・・・もしかして、岡部倫太郎・・・?」
「我が名は、鳳凰院凶真。 狂気のマッドサイエンティストだ」
「やっぱ岡部倫太郎・・・」


だから鳳凰院凶真だって言ってるだろ!

いやまあ、今はそこにこだわっている場合じゃないな。


「いったいなにがあった? なぜ鈴羽がこの時代に来てるんだ!」
「実はさ・・・。 サンボの牛丼食べに来たのに、休みでガッカリ」


鈴羽はそう言って大きくため息をした。


「FU・ZA・KE・RU・NA!」
「うっ? ちょっと落ち着いて。 ちなみにさっきあたしのこと、ジョン・タイターとか阿万音鈴羽とか言ってけど、勘違いしてない? あたしは、橋田鈴だよ。 ジョン・タイターとも、阿万音鈴羽とも名乗ったことはない。 ああ、阿万音ってお母さんの旧姓だっけ。 まさか別の世界線のあたしはそう名乗ってた?」
「いやそんなことより! つまりお前は、こう言いたいのか? この時代にタイムトラベルしてきたのは、牛丼を食べるためだと」
「そだよ。 ああ、お腹減ったー。 なんかさ、26年後じゃ食べれない、おいしいもの知らない?」
「FU・ZA・KE・RU・NA!」


これも世界線変動の影響なのか。

あまりにもあらゆる事象が"短絡的"すぎる!

こんなの俺は認めない!


「なんかさ、食べさせてくれたらすぐ帰るから・・・」


鈴羽のお腹がグーと鳴った。
しょんぼりした顔に戻り、盛大にため息をついている。


「ナイトハルトやIBN5100とは、まったく関係なしなんだな?」
「なにそれ? 食べ物?」


ダメだこいつ、早くなんとかしないと。

ならば、こいつには帰ってもらう。

それが元の世界線に戻すことに繋がるはずだ。


「よし、ここで待っていろ。 俺がとっておきの食べ物を買ってきてやる」
「おお! 期待してるよ」


後ろを振り返り、秋葉原駅の方を見るとセレブなおばちゃんたちの集団が通路を塞ぐようにして、立ち話をしていた。

高級飲食店でセレブランチ後、といったところか。

あれでは通れないではないか。




 

カツサンドが食べたい。

これはもう条件反射と言ってもいいかもしれない。

ククク。

鈴羽には、カツサンドを食わせてぎゃふんと言わせてやる。

カツサンドは2036年に無いかどうか?

そんなの知ったことか。

俺が! カツサンドを! 食いたいのだ!

あれは6個入りだから、半分の3個、いやせめて2個は自分のものにしてやる。

これだけは譲れない。

というわけで早速買って、鈴羽の元に戻ろうーーって、財布がないんだったぁ!

くっ、これも『機関』の陰謀か・・・。

助手に電話してみた。


「あのぅ、何度も申し訳ないんですけど、あと1000円貸してもらっていいですか?」
「なにに使う気?」
「タイムトラベラーが腹ペコらしくてな。 カツサンドを食わせてやろうと思ったのだ。 待って! 切るな! 切らないで! マジだから! 本当のことですからー! 頼む、とりあえず、万世橋まで来てくれ・・・頼むよ、紅莉栖」
「・・・っ。 き、急に、名前で呼ぶな・・・っ。 焦るだろ・・・。 まったく、ちょっとそこで待ってなさい」


──10分後。

 

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「で、さっき言ってたタイムトラベラー云々って?」


その件については、つい口走ってしまったが、やはり黙っておいた方がよさそうだな。


「それについては俺の勘違いだった」
「ふむん。 あんたが自分のミスを認めるなんて珍しい」
「実はどうしてもカツサンドを食べさせてやりたいヤツがいてな。 そいつはいわゆる"お上りさん"であり、秋葉原は初めてなのだ!」
「何者?」
「ゆ、友人の、娘・・・」
「おのれは何歳だ、おい」
「俺の父親の、友人の、娘だ!」
「・・・女か?」
「はあ!? なんだそのリアクションは! お前、そんなスイーツ(笑)だったのか。 失望させるな!」
「べ、別になんにも言ってないだろ。 ほら、1000円! 例によって倍返しよ!」


紅莉栖は俺に1000円札を押し付けると、顔を赤くしながら去っていった。

俺は意気揚々とカツサンドを買うと、UPX前で待つ鈴羽の元に戻ることにした。

早く食べさせてやりたい。

というか俺が早く食べたい。

腹が減っては戦はできんのだっ!

 




「あーうー、飢餓感がヤバいよー」
「ええい、なにが飢餓感だっ! ちょっとは我慢しろ!」


今の鈴羽は、まるでまゆりのようだ。

ハラペコキャラ的な意味で。


「だってさー、昨日からなんにも食べてないんだよ? あ、昨日ってのは26年後のことね」


すごく、分かりにくいです。

買ってきたカツサンドを鈴羽に差し出した。


「おおぅ!? こ、これは・・・!? なにこれ!? これなに!?」


こ、こんなにも目を輝かせるとは・・・。

鈴羽よ、よほどひもじい幼少期を過ごしたのだな。

まあ父親が"ヤツ"では仕方ない。

むしろ、あの父親から生まれたのによくぞこれだけ立派に育ったものだと感心してしまう。

 

 

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カツサンドだ。 たんと食え」

「おいひい。 これおいしいよぅ!」


鈴羽は興奮した面持ちで、あっと言う間にすべてを平らげてしまった。

ちょっ、しまった!

2個ほど分けてもらおうと思ったのに、あまりの食いっぷりの良さにそれを忘れてしまっていた。

まるで今にも"ンまぁーーいっ!"と言い出すのではないかと思えたほどだ。

フッ、それほどまでに感動してもらえたなら、俺も苦労して買ってきた甲斐があったものだ。

俺も食べたかったが、今回ばかりは諦めよう。

金を出したのは助手だしな! フゥーハハハ!


「ディモールト! うまかったか?」
「すごく! ありがとね、岡部倫太郎!」
「それで、目的は果たしたのだから、未来に戻ってくれるよな?」
「んー・・・。 まだ腹八分目ってとこなんだけど・・・」


この食いしん坊が! まゆりと大食い対決でもしていろ!


「ま、いつまでもここにいるとさ、やっぱ問題ありだもんね。 実は父さんにもナイショで来たんだし」


あの(26年後の)ボケダルめぇぇ! 娘の行動ぐらいきちんと管理しておけ!

おかげでこっちがどれだけ迷惑をこうむったと思っているのだ!


「というわけでさ! この時代の父さんに会うのも避けたいんだ」
「よし、さっさとタイムマシンのところに戻るぞ!」
「オーキードーキー♪ あ、あたし自転車取りに行くからさ、先に行っててよ」


鈴羽は手を振って、さっさと走っていってしまった。

俺が止める暇もなかった。

呆然と見送っていたら、また来ている白衣のポケットが淡く発光した。

ラジ館の前に行くとするか。




 

ラジ館は閉鎖中だ。

7階は静けさを取り戻している。

萌郁は・・・いないようだ。




 

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ラジ館の屋上に出ると、すでに鈴羽が待っていた。


「おっそーい、もうさ、1人で帰っちゃおうかと思ったよ」
「・・・準備は?」
「スタンバイオーケー。 いつでも行ける」
「"彼ら"はこの件でカンカンだよ」
「ん? "彼ら"って誰?」
「いや、構わん。 予定通りにミッション開始だ」
「・・・?」


くそ、"司令官とパイロットによる思わせぶりな会話"的なものをやろうとしたのだが、鈴羽が相手では無理だったか。


「帰る前に、1つ聞かせてくれ。 この秋葉原に来てから、大きなダンボールを抱えた男を見かけなかったか?」
「うーん。 見てないなぁ」
「そいつは高校生で、胸ポケットにアニメキャラのフィギュアを差しているんだが──」
「おぉ!」


鈴羽がポンと相づちを打った。


「その少年ならさ、ついさっき会ったよ」
「なに!? 本当か!?」
「"スパッツかわいいよスパッツ"ってボソボソ言ってた。 あれって呪詛かなんかかな?」


まあ、似たようなものだな・・・。

やはりナイトハルトは、ダルと同じくHENTAI紳士だ。

間違いない。


「それで、どこで会った!?」
「さっきUPXで。 岡部倫太郎がカツサンドを買いに行ってたじゃん。 そんとき」


なんてことだ! ニアミスだったということか!」


「でも変だな。 大きなダンボールなんて持ってなかったよ」
「持っていなかった・・・だと・・・?」


その情報は初めてだ。

じゃあ鈴羽が見た男は、ダルたちが目撃した人物とは別人か?

いや、いくら秋葉原とは言え、フィギュアを胸ポケットに入れて歩く男など、そうそういないはず。

少なくとも、俺はこれまで一度として見たことがない。

俺の脳細胞が、ジュクジュクと働き始めた。


「ナイトハルトめ、IBN5100をどこかに隠したか、捨てたか、仲間に渡したな・・・」


こうなるとまずいぞ。

俺の力で取り戻すのが困難になる。


「力になれた?」
「ああ。 有益な情報だった」
「よかった。 んじゃさ、あたしは26年後に帰るから。 またね、
岡部倫太郎・・・オカリンおじさん! 父さんによろしくー!」


いたって能天気に笑いながら、鈴羽--ジョン・タイター--はタイムマシンに乗り込んだ。

ハッチが閉まると、姿は見えなくなる。

やがて、甲高いアラーム音が鳴り始めた。

この音を、俺は以前にも別の世界線で聞いたことがある。

その記憶とまったく同じ通りに、アラーム音の次には、タイムマシンとその周囲の空間がぐにゃりと歪み──

 

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機体を包み込むように光の繭(まゆ)が現れ、周囲を閃光で染める。

視界が真っ白に塗り潰されたかと思ったら、すぐにその眩しさは消え去った。

後には、そこに鎮座していたはずの人工衛星のようなタイムマシンは、影も形もなくなっていた。

静電気が放電されたことによるオゾンの匂いが鼻を突く。

ふう・・・。

これで問題は1つ解決した。

だが肝心のIBN5100はいまだ取り戻せていない。

安心している場合じゃないぞ。


「ちょっと岡部・・・今のって、なんなの・・・?」
「・・・!?」


ギクリとして、俺は振り返った。

 

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だがそこに、紅莉栖が呆然と立ち尽くしていた。


「な、ななななぜ助手がここにー!?」
「あんたがあまりに挙動不審だから、こっそり追いかけてきたんだけど・・・」
「まさか助手からストーカーにクラスチェンジするとは思わなかったぞ・・・。 俺はお前という人間の本質を見誤ったようだ」
「私は助手でもストーカーでもない! それより今のはなんなのよ。 説明しろ!」


まずいところを見られてしまったようだ・・・。

・・・。

俺は紅莉栖にキスをした。

 

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「つ、つつつ、通報しました! 死ね・・・氏ねじゃなくて・・・死になさいよ・・・」


こうかは ばつぐんだ。


「・・・ねえ、岡部。 私に、遠慮しないで。 あんたは命の恩人だし、私もあんたの仲間になりたいって思うから。 困ってることがあれば、相談してほしいの。 私は相談に乗りたい」


俺はこれまで、こいつを巻き込みたくないと思っていた。

だが、そうじゃない、ということだな。

俺たちは仲間だ。

互いに助け合ってこそ、力を発揮できる。

まゆりを救おうとタイムリープを繰り返していた、あのときのように。


「分かった。 すべて話す。 協力してくれ・・・助手よ」
「助手じゃな、・・・はぁ、まあいいわ。 今は助手でも」


俺は紅莉栖にハグしようとした。


「紅莉栖・・・」
「ちょっ、こら、調子に乗るなっ」


両手で押し返された。

おのれ、純情ぶりおって・・・。

というかこいつ、顔が真っ赤ではないか。

・・・きっと俺も、赤くなってるだろうが。

さすがはアキバの中心で童貞とバージンを叫んだ男女だな、フゥーハハハ!

・・・真面目にやろう。

助手に──もとい、紅莉栖にすべてを話した。

未来の俺から届いたメールのこと。

鈴羽の正体のこと。

タイムマシンのこと。

この世界では某猫型ロボットの秘密道具のごとき超常現象が発生していること。

IBN5100を探していること。

ナイトハルトという男のこと。

紅莉栖は一言も反論を入れようとせずに、黙って俺の話を聞き終えた。


「ふむん。 その高校生、私も見たわ。 確かに大きなダンボールを抱えていた」
「場所は?」
ドンキホーテの裏あたりね」
「それは非常に貴重な証言だ。 よくやったクリスティーナ」


考えろ、考えるのだ・・・!

・・・。

俺の灰色の脳細胞がカリカリと高速で回転を始める。

これまでのナイトハルト目撃証言を整理してみよう。


「見えた。 見えたぞ! IBN5100の在処が!」
「どこなの?」
「コインロッカーだ。 ドンキホーテ裏のな!」
「コインロッカーねえ。 世界の未来を揺るがすことなのに、ずいぶん安っぽい最終目的地ね。 根拠は?」
「いくつかの目撃証言から、ナイトハルトと思われる男がずっと抱えていたダンボールが"消えた"タイミングがある」


鈴羽曰く、ヤツは手ぶらだったと言う。

紅莉栖はダンボールを抱えたナイトハルトを見た。

2人の目撃地点は、ほとんど離れていない。

にもかかわらずダンボールだけが消えた。


「それだけだと証明としては弱い。 他にもコインロッカーはたくさんあるし、誰かに渡した可能性だって──」
「いいや。 間違いなくそこだよ。 俺の心の底に眠る闇の声が、そうだとささやくのだ」
「これは酷い。 こんなときくらい厨二病はやめんか・・・」
「いいや、間違いない。 かつて俺が漂流し、今は"失われた"世界線においてもそうだった。 消えたIBN5100の在処は、何度かあのロッカーへと"収束"したのだからな! さあ、助手よ、俺に続け!」


急ごう。

きっと、運命石の扉は開く!




 

 

 

 

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「ここだ・・・」


ドンキホーテ裏にあるコインロッカーの前で、俺は立ち止まった。

ラストダンジョンとしてはみすぼらしいというか、ダンジョンとさえ呼べない単なる通り道。

できれば、満月の夜、空にコウモリなどが飛んでいる朽ち果てた古城へ突入するような最終ミッションが理想だったが。

今はそんな妄想にふけっている場合ではない。

早速ロッカーを調べた。

すると、右端にある大きめのロッカーは1つだけ、使用中になっていた。


「ククク、フゥーハハハ! ここだ! やはりこの中に、IBN5100はあるのだ! すべての予想通りだ。 ナイトハルト破れたり。 フゥーハハハ!」
「浮かれるのはまだ早い。 この中にIBN5100が仮にあったとして、どうやって開けるつもり?」

そう、それが一番の問題だ。

 

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この中のロッカーにIBN5100が隠されているはずだ。


「ロッカーの鍵を開ける方法について、お前はなにか案があるのか?」
「私たちがこの場でロッカーを開けなければならない、という発想がそもそも間違っている。 ちょっとばかり迷惑になるかもしれないけど、例えばこのロッカーの管理会社に連絡して開けてもらうとか。 なんなら、警察に"爆発物がこのロッカーに!"って匿名で嘘の通報をしてもいい」
「さすが我が助手だ。 手段は選ばないというわけだな」
「未来の運命がかかってるんでしょ」
「だがそうなれば、IBN5100は俺の手元には戻ってこないという可能性もあるのでは?」


警察に没収されたら、元の"シュタインズゲート世界線"へ戻れなくなるかもしれない。


「それも可能性の1つとして保留しておこう。 他には?」
「ふむん、そうね・・・って、あんたも少しは考えなさいよ」
「・・・ナイトハルトをあえてこちらからおびき出す、という手はどうだ?」
「どこにいるかも分からない、顔も分からない相手をどうやって特定する気?」
「これまでの目撃情報を統合すると、ナイトハルトがダル並みのオタだということが分かる。 ならば、ヤツ好みの萌え要素で釣ればいい。 助手よ、コスプレしろ!」
だが断る
「未来の運命がかかっていると何度言えば──」
「おのれは私にコスプレさせたいだけちゃうんかと」
「それもある。 だがそれは、お前が、かわいいからだ」
「えっ、ちょっ、なっ・・・」


ニヤリ・・・。

紅莉栖め、ちょっとお世辞を言っただけで顔を赤くして動揺し始めたぞ。

こいつはまゆりなどよりよっぽど扱いやすい女かもしれん。

ククク、さあ、俺の手のひらの上で踊r...


「おい、その悪そうな笑い方はなんだ」
「はひぃ!? なななな、なんのことだ!?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「やっぱり断る!」

やばい見抜かれた・・・。

だがここで引き下がるわけにはいかん。


「頼れるのはお前しかいないんだ。 ほんの数時間、ここにコスプレ姿で立ってくれるだけでいい。 それで、未来は救われる」
「そもそもそのナイトハルトとかいう人の好みも分からないくせに、どうコスプレしろって言うのよ。 いくらまゆりがコス作りをしてるからって、都合よくそのコスがあるとも限らないし」
「ナイトハルトの嫁のことなら、星来オルジェルで間違いない。 ククク、助手よ、これでお前がコスプレを断る理由はなくなったな」


というわけで俺はさっそくまゆりに電話した。


「まゆりか。 星来オルジェルのコスを持っているか? 持っているならクリスティーナに着せたいのだが」
「んー、あるけどね、クリスちゃんだと、サイズが合わないかもだから、作り直さなきゃー」
「サイズ?」
「うん。 胸のサイズ」
「ぷっ。 そ、そうか、そういうことなら、残念だが、仕方ないな、ぷぷぷ」


笑いをこらえて電話を切った。


「・・・今、猛烈に馬鹿にされた気がするわ」
「助手よ。コスプレに関しては諦める。 余計なことを言って済まなかった。 ブハッ」


笑いをこらえきれなかった。

っていかんいかん、真面目に考えなければ。


「だがナイトハルトが星来に反応するのは確実だ。 なにか、釣り針さえ用意できれば」
「釣られるかしら? 釣られるとは思えないクマー」
「え?」
「・・・今のは忘れろ」
「・・・ええと、とにかく試すだけ試してやろう! 例えばフィギュアを買ってくるとか」
「ついさっき、あんたにお金を貸したと思ったんだけど、気のせいだった?」
「チィッ・・・これも、機関の陰謀か」


財布は落としたんだったァァ!


「そもそもあんた、その星来ってキャラのこと詳しいの? 口癖とか決めポーズとかあるのかしら」


星来というキャラの情報、か・・・。

もしかしたら以前、ダルやまゆりがアニメを見ている横でチラ見したことがあるかもしれないが。

なんなら、詳しそうなヤツに電話してみるのも手だ。

 

「俺だ。 今すぐ"彼"に連絡を取ってくれ。 ・・・そうだ、"解錠師──ヘヴンズドア"のことだよ。 ・・・ああ、緊急で仕事を頼みたい。 ・・・金ならいくらでも出すという、政府の了解は取り付けているっ。 ・・・急いでくれ。 これは運命石の扉の選択だ。 エル・プサイ・コングルゥ


電話を切ると、紅莉栖が冷めた目で俺を見ていた。


「政府の了解、・・・プッ」


こいつ、笑いやがった! この助手風情がァァァ・・・。 絶対に許さない、絶対にだ!


「・・・助手よ。 今すぐこの場で"ぼけなす☆"と叫ぶがいい」
「そんな恥ずかしい真似、できるわけなかろうが」
「いいや、お前ならできる。 なぜならお前はかつて、アキバの中心で自らバージンだと叫んだほどの豪傑だからだ!」
「ちょっ、おまっ、わた、私はそんなこと叫んでない!」
「だがバージンだろう?」
「バージンで悪いか、この童貞!」


時が止まった。

牧瀬紅莉栖、アキバの中心でバージンを叫ぶ(2度目)。


「鬱だ・・・死にたい・・・」


がっくりとその場に跪いてしまった紅莉栖は放っておく。

こいつが使い物にならなくなった以上、かくなる上はこの俺自身がなんとかするしかない。

例え俺が男で星来が萌え萌え美少女だろうとも、やるしかないのだ!


「このぼけなすゥゥゥゥッ!」


天に拳を突き立てて、叫ぶ。

さあ来い! 俺の魂の叫びに反応しろ、ナイトハルト!


「・・・・・・」


だが誰も現れることはなく。

代わりに、俺のケータイが鳴った。

 

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「・・・もしもし」
「僕だ」


男の声だった。

あまり覇気のない、ボソボソとした感じの声。

ケータイのディスプレイには、相手の名前が表示されていなかったので、俺の知っている人間じゃない。

どうせ間違い電話だろうと思いつつ、内心はなぜかすごくドキドキしていた。

"このタイミングでかかってきた謎の人物からの電話"


あるいはまさか・・・と思いつつも、同時に理性が、そんな都合のいい展開があるはずはないと冷静に判断している。

だから俺は、鳳凰院凶真として、試すような問いをあえて発してみた。


「なぜ、俺のケータイの番号を知っている?」
「だ、だって、これまでウザいくらい、頻繁に僕に"報告"を入れてきたじゃないか。 君の行動は、ぜ、全部、把握してるよ。 君のおかげでね」

 

ギクリとした。

こいつ、なにを、言っている?


「そ、それが、運命石の扉の、選択なんでしょ? ふひひ」
「き、き、聞いていたのか!? バカな・・・」


そんなはずは・・・。

だってあれは、単なる芝居で、電話はどこにも繋がっていなかったはず・・・。


「ちなみに、"ぼけなす☆"の使い方、ま、間違ってるから」
「お前は、何者だ・・・?」
「僕の名は・・・疾風迅雷のナイトハルト」


頭の中が真っ白になった。


「ありえない! こんなのは、非現実的すぎる!」


俺の悲鳴に近い叫びに、目の前にいる紅莉栖が眉根をひそめる。

いったい、なにが起こっている!?

なぜナイトハルトが、俺のケータイ番号を知っている?

俺が頻繁にナイトハルトに"報告"をしていただと?

混乱する。

だが一方で、こんな無茶苦茶な状況になっていても不思議じゃないという妙な納得もある。

なぜならこの世界線は、俺がさまよい込んだ当初から、すでに"おかしかった"からだ。

ミスターブラウンが謎の超常的なアイテムを持っていたのもそうだ。

万世橋では十字架によって『黒騎士』と棺桶が一瞬にして消滅した。

ダルが未知の技術力を発揮して、ラボのドアに近未来的ギミックを仕込んだ。

ラボメンバッジが突然発光して、ラボメンのイニシャルが浮き上がってきたのだって、あまりにファンタジーだ。

この世界は、普通じゃない。

そしてその原因はおそらく、この電話の向こうにいる男──ナイトハルトにある。

世界線"シュタインズゲート"から今の世界線に移行してしまった発端は、ナイトハルトがIBN5100を奪ったせいなんだから。

それにしても、まさか俺の"報告"が、ナイトハルトに聞かれていたとはな・・・。

あるいは、もしかして本当に、最初から俺の"報告"の相手はナイトハルトだったのかもしれない。

・・・いや、それないな。 それはない。 そんなわけはない。

ならばナイトハルトは卑劣な盗聴野郎だ。

俺の"報告"は機密情報まみれであり、それを盗み聞きしたというなら、全力で排除しなければならない。

でなければ、"組織"から消されるのは俺だ。


「岡部? どうしたの?」
「ナイトハルトから、電話が来た・・・」
「知り合いだった、ってオチなわけじゃなさそうね。 なんとか会話を引き伸ばして、相手と会う約束を取り付けて」


無茶言ってくれる・・・。

だが、ナイトハルトは俺の釣りに引っかかり、向こうから接触してきた。

相手もこっちに多少は興味があるということ。

ナイトハルトの真意を探り、IBN5100を奪い返し、世界線を元に戻す。

それが今、俺に求められていることなら。

やってやるさ。


「ナイトハルトよ。 我が真名、名乗らせてもらおう。 俺は鳳凰院凶真。 狂気のマッドサイエンティスト
「ちゅ、厨二病乙。 ふひひ」
「その言葉、そっくり返させてもらうぞ、疾風迅雷のナイトハルト」
「・・・・・・」


電話の向こうで歯ぎしりの音が聞こえた気がした。


「それでナイトハルト。 貴様の目的を聞こう」
「ぼ、僕を、解放してくれ・・・」
「解放? 貴様、さては"囚われた"か」
「し、知ってるの!?」


え、お? 単に思わせぶりなセリフを言っただけなんだが。


「フッ、俺を誰だと思っている。 狂気のマッドサイエンティ──」
「それはもう聞いたし」
「・・・・・・」
「数ヶ月前、ネット上で、幻のレトロPCを探せっていう祭りがあったんだ。 そのときは、み、見つからなかったんだけど、ぼ、僕はその後も、1人で探し続けてて・・・」
「見つけてしまった、ということか。 愚かな真似を」
「だ、黙れ小僧!」
「お前だって小僧だろうが!」
「幻のレトロPCがプレミアでいくらになるか、し、知ってんのかよぅ!? 転売厨なら手に入れなきゃ嘘だろ、じょ、常識的に考えて」
「お前・・・どうしようもないダメ人間だな」
「よく言われます。 ふひひ」
「だが、それと、お前を"解放する"ことにどんな繋がりが? というかなにを解放すれば?」
「僕は、も、妄想しすぎたんだ」
「日本語でOKだ」
「IBN5100を、し、神格化しすぎた・・・。 気がつけば僕は、あ、あ、IBN5100と融合しちゃってたんだ・・・!」
「なん・・・だと? それは比喩的表現か?」
「そのままの意味だよ!」


これはひどい


ナイトハルトってとんでもない馬鹿だな。


「妄想乙と思うなら思えばいい。 で、でもホントのことだよ」
「いいや、嘘だな。 そんな戯れ言で俺をだませると思ったか? なにが融合だ。 秋葉原中で目撃されているんだよ! お前がIBN5100を抱えてオタライフを満喫しているところをな!」
「ああ、それは僕が見せた妄想」
「・・・でまかせを」
「君の知り合い──ラボメンだっけ──しか都合よく目撃していないことに、疑問を持たなかった?」
「・・・?」
「それに、肝心の君は、今日一日、ずっとアキバを歩き回ってるのに僕を一度も見かけなかった。 大きなダンボールを抱えて歩き回る高校生なんて、かなり怪しくて目立つのに、ニアミスすらしてないでしょ。 し、周囲共通認識の限定使用。 僕は、君の知り合いにだけ僕の妄想を見せた。 君を、この場に導くためにね。 そしてまんまと釣られた。ふひひ」


つまり今日の俺は、この男の手のひらの上で踊らされていただけということか!?


「おのれ・・・小癪な真似を・・・」
「俺の妄想は暴走してる。 制御不能状態なんだ。 妄想が、PCを通して世界に溢れ出しちゃってる」
「妄想・・・あるいは概念創製──オンリーマイジャスティス──と言ったところか」
「マジレスすると、僕はギガロマニアックスって呼んでる」


なぜか会話が成立していた。


「この秋葉原で超常現象が頻発しているのも、お前の暴走した妄想の仕業だと?」
「そ、そういうこと」


信じるべきなんだろうか・・・。


「だから、君に、僕を解放してほしいんだ。 僕とIBN5100との融合を解いてくれ」
「・・・もし解放しなければ?」
「僕の妄想が、世界を覆い尽くすかもね」
「具体的に言え」
「そうだな、まず世界中の男が消えるね。 で、三次元女子は全員二次元化する。 そして全員が僕にラブラブ状態になる。 まさに世界ハーレム化。 これはけしからん。 案外それもアリかも。 ふひひ」
「つ、つまり、世界が、萌えに染まるということか・・・。 なんて、恐ろしい・・・」
「君の知り合いの、ラボメン連中も僕にラブラブになるよ。 寝取られキタコレ」
「貴様ァー! 俺の仲間に手を出すな!」


未来の俺が言っていた通りだ。 これは、なんとしても止めなければ。


「分かった。 この俺が、お前を解放してやろう。 具体的方法を教えろ」
「簡単な話だよ」

 

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と、使用中だったコインロッカーのドアが、カチリと音を立てたかと思うと勝手に開いた。

さっきまでロックがかかっていたのに・・・。

これが、ナイトハルトの妄想の力・・・。


「その中に、僕が入ってる。 正確には、ぼ、僕が融合しちゃった、IBN5100だけど」


恐る恐る、ロッカーの中をのぞいてみると、大きな箱が入っていた。

その箱を開けてIBN5100を取り出す。

 

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「PCを起動して正しいパスを入力してくれ。 それが、還るための鍵。 妄想の暴走が止まるんだ・・・」
「パスは誰が設定したんだ?」
「うるさいな、僕だよ文句あっか!」
「ちょっ、逆ギレするな!」
「したくもなるよ! せっかく、久々にアキバに来たって言うのに、こんなことになるなんて! ぼ、僕は、半引きこもりだから、滅多に来られないんだぞ! しかも去年、あんなひどいことに巻き込まれて・・・本当に、アキバに来るのは久しぶりだったんだ! オタの夢なんだアキバは! ちょっとくらい調子に乗ったって、しょうがないだろ! おかげでご覧の有様だよ! 自業自得だよ! PCと融合とかまるでギャグだよ、氏ね!」
「お、落ち着け・・・」
「それでも鳳凰院凶真なら。 鳳凰院凶真ならなんとかしてくれる・・・。 なにしろ君は──かなり重症の厨二病患者だからね。 妄想力もかなりのものでしょ。 ふひひ」
「くっ、貴様ァ! あまり俺を怒らせるなよ・・・!」
「べ、別にバカにしてるわけじゃない。 むしろ、頼りにしてるんだ。 あ、後は、任せたよ」
「ふん。 まさか、お前と協力することになるとはな・・・」
「これまでの君の"報告"を聞く限り、利害は一致してると思う」
「・・・ああ。 それが運命石の扉の選択だよ。 パスワード解析ミッションに移行する」
エル・プサイ・コングルゥ。 ふひひ」
「エ、エル・プサイ・コングルゥ


先に言われてしまった・・・。

俺はため息をついて、紅莉栖に向き直った。


「助手よ、聞いていた通りだ」
「いつもの厨二な独り言しか聞こえなかったわけだが」
「独り言ではないわバカモノ! 信じられない話かもしれないが、ナイトハルトがこのIBN5100と融合してしまったらしい」
「擬人化PCとか言うつもり?」
「お、お前が擬人化という言葉を知っていることが驚きだ・・・」
「オ、オタクカルチャーを精神医学的に研究したことがあって──」


言い訳は無視した。


「まさに誰得だが、事実は事実。 その融合を解くためには、パスワードをこのPCに打ち込むしかないんだ」 
「ヒントかなにかないの?」
「ない」
「だとしたら当てずっぽうでなんとかするしかないじゃない! そんなの証明でもなんでもないわよ!」


なぜこいつはいきなりキレているのか。


「あ、ゴメン、いきなり怒って・・・。 だって、あまりにも天文学的な確率じゃない・・・」
「最初から諦めてどうする。 お前、それでも俺の助手か!」
「・・・わ、私は、あき、諦めてなんかないわよっ! あんたを探して1ヶ月間、秋葉原を歩き回った根性ナメんな! 解き甲斐のありそうな公式だなって、気合いが入っただけよ!」
「あ、そ、そうか。 それならよかった。 頼りにしているぞ」
「うん・・・。 頑張る。 あんたの、力になりたいから」


感動のあまり抱きしめようとしたら、鳩尾に肘鉄を食らった。

意味が分からなかった。


password? fun^10*int^40=Ir2

※↑カオスヘッド参照


公式を打ち込むと同時に、世界が白黒に染まり──

次いで、閃光によって真っ白になった。


「この公式によって世界の可能性は殺されてしまったと思ったけど、全然そんなことはなかったぜ」


脳裏に、ナイトハルトの声が響く。


「むしろ暴走して可能性が無限大だったよ。 ふーびっくりした。 まるで反省してない」


正解・・・?

正解を引き当てたのか!?

お前は解放されたのか!?


「そういうこと。 君たちの領域と、僕の領域。 両方とも経験していれば簡単だった。 でも君たちの領域しか知らない人には、かなりの難問だったはず。 ふひひ、ざまぁ」
「お前、いちいちムカつくヤツだな」
「よく言われますサーセン。 でも君もなかなかイラッとするよ」
「俺は狂気のマッドサイエンティストだから、それについてはなんら問題ないのだ」
「こやつめ、ハハハ。 とにかく僕は解放された。 迷惑かけてゴメン。 世界は元通りになるはずだよ」」
「そうか。 それはそれで、少し、寂しい気もするな」
「ふひひ。 さすが厨二病。 能力と書いて"ちから"って読んじゃうタイプでしょ」
「お前もだろ」
「・・・ちなみに言って、厨二病のくせにリア充だよね。 絶対に許さない! 絶対にだ!」
「ならば疾風迅雷のナイトハルトよ。 ラボメンにならないか?」
「ちょっ、な、なにその"やらないか"的な誘い方。 クソワロタ。 だが断る
「フッ。 言うと思ったよ」
「ここでお別れだ。 鳳凰院凶真」
「またいつか会えるだろう。 それが運命石の扉の選択だからな」
「じゃあ、そのときまで。 エル・プサイ・コングルゥ
エル・プサイ・コングルゥ


そして、俺の能力──リーディング・シュタイナーが発動した。

目眩のように、視界が歪んでいる。

その歪みが少しずつ緩やかになってくる。

世界が元の形へと収束していく。

モノクロの世界に色が戻り始める。

脳に、刺すような痛み。

耐えられない痛みじゃない。

手に、ずっしりと重みを感じた。

 

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景色は中央通り。

その歩道を俺は歩いていて。

目の前には、紅莉栖の顔。

リーディング・シュタイナーの発動が意味するのは、世界線の変動。


「──ねえ、聞いてるの? い、いったい、ど~こ~に、は、運ぶのよっ」
「って、重っ」


手が滑りそうになり、慌てて持ち直した。

なぜか俺は、紅莉栖と向かい合わせの形で、大きなダンボールを運でいた。

中は見えないが、こおの重さ、この大きさは、間違いなくIBN5100だ。


「と、取り戻せたようだな・・・」
「は? な、なにがよ、ちょっと、も、もっと力入れて・・・重いから・・・っ」
「クリスティーナ。 お前は覚えているか?」
「覚えてないし、クリスティーナでもないしっ」
「俺とお前で、このIBN5100に設定されたパスワードを、必死で、解読したことをだ」
「してないわよっ・・・いいから、ちゃんと持てっ」


やはり覚えていないか・・・。

俺は苦笑しつつ、手に力を込めた。

それから改めて、紅莉栖の顔をまっすぐに見つめた。


「・・・な、なに?」
「いや。 今回も、お前がいてくれて、助かったと思ってな」
「力仕事は、苦手なのに・・・っ」


どうやら俺の言葉の意味を勘違いしているようだが。

まあいい。


「助手よ、顔が、真っ赤だぞ。 フゥーハハハ!」
「お、重いのよっ・・・。 そう言う、あんただってっ、というか、ど、どこに、行くわけ!?」


今すぐにでもこの世界線が"シュタインズゲート"かどうかを確かめたかったが、おそらくその術はない。

だが、この助手がいてくれれば、俺はこの先も、どんな困難があろうと乗り越えていける。

そんな気がして。




 

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「ちょ、ちょっと、笑ってないで、どこに行くか、教えなさいって!」
「とりあえずっ、柳林神社に奉納だっ」
「はあ? たった今、柳林神社から引き取ってきたのに!?」


この世界線ではそういう経緯をたどったのか。


「そういうことならそうなんだろう。 お前の中ではな」
「あまりにも意味不明で、突っ込む気すら起きないわけだがっ」
「いいから神社へ向かうぞクリスティーナ。 この鳳凰院凶真に続けぃ!」
「あーもう、岡部ってとことん論理的じゃないわね・・・」
「運び終わったら、なんでも好きなものをおごってやるっ。 今日一日、さんざん突き合わせたからなっ」
「さんざん? なんのことか分からんが、あんたがそんな気の利いたこと言うなんて、ビックリよっ。 し、しようがないから、夕食を、ごちそうになってやるっ。 ガチの、ディナーだからな! 高いんだからな!」
「望むところだ! たんまりとうまいものを食わせてやる! それがシュタインズゲートの選択だ!」


ポケットに財布が入っているかどうか、いまいち自信はなかったが・・・。

ふと、何者かの視線を感じて、空を見上げれば。

夕焼けに染まる、秋葉原のビル群。

聞こえてくる飛び込みの声やBGM。 

雑踏を歩く買い物客たちの話し声。

それらに混じって、"ヤツ"の声が聞こえたような気がして。


「その目、だれの目?」


俺はそうつぶやき、再び紅莉栖とともに歩き出した。


・・・。

 

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