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ドキドキ文芸部プラス!-DOKI DOKI Literature Club Plus!+-【平等パート】(終)

このブログはゲームのテキストを文字起こし・画像を投稿していますので、ネタバレを多く含みます。

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作品著作表記
© 2021 Team Salvato & Serenity Forge. All rights reserved. Licensed to and published by Serenity Forge LLC and Active Gaming Media Inc.

デベロッパー公式サイト
https://ddlc.plus/

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https://playism.com/game/doki-doki-literature-club-plus/

 

 

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「よし、みんな! 今日は、いつもの活動はお休み。文化祭の季節が近づいて来たでしょ? 部の方向性とかを見直す良い機会だと思うの」
文化祭で何をやればいいかも見えてくるはずよ」

 

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「アタシとサヨリはもうめちゃくちゃいいアイデアを思いついてるわ!」

「本当に? 文化祭のことで?」

「そう! いい? 計画はこうだよ。モニカちゃんとユリちゃんで、食べ物を売る部活やクラスの情報を前もって集めておくの。で、校内マップを見ながら一番効率的なルートを確認しておけば、行列ができる前にたくさんの食べ物が変えるから…」

「ちょっと! それ、部活動と関係ないじゃない!」

「まあまあ、最後まで聞いてよ~!」

「……いいわ、続けて」

「それでね、なるべく全部の食べ物をゲットしたら、ここに戻ってきて全員で食べるの!」

「…やっぱり最後まで聞かなきゃよかった……」

「ちょっと! 文句ばっか言ってないでさ、アンタはもっといい案が思いつくっていうの? ──あら、ユリも考えがあるみたいよ」

 

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「い、いえ、そんな! ただ、私は、文芸に関係のあることがしたいかな、と……。一緒に食事をするのはいつでもできますが、文化祭は特別な機会です。それに、この部には新入部員がしばらく入っていませんし…」

「そう、私も同じことを考えていたの! 文芸部がどういう部活か知ってもらういい機会だわ。それにね……両方できるんじゃないかしら? ナツキが食べ物ハントもしつつ、公開イベントもできるわ」

「ああっ、そうだよね! 冗談のつもりだったんだけど、すっごくいい考えだね!」

「ふふ。まとまってよかったわ。だけど問題は……、文芸部で何が得られるかを知ってもらうためのイベントを考えることよね」

「うん、ちょっと大変かも。この部で得たものって、みんな違うもんね」

「じゃあ、こういうのはどう? 一人ずつ順番に、この部で得られたものについて発表しましょう。 きっと私たちの文芸部が、どう知ってもらうべきかが見えてくるはず!」

「いいね!」

「そんなの恥ずかしすぎます…」

「あっ…だけど、ユリちゃんには話すことがたくさんあるよね!」

「だからこそ…ですよ。ナツキちゃんも同じ気持ちだと思います」

「そうね──そうかもね。けど…反対はしないわ。だって、文芸部だもの。ここは、そういうことを話す場所でしょ? 慣れるには、ぐちぐち言わずにやるしかないし」

「ああ……その通りですね。ごめんなさい」

「ね、言われた側の気持ちのことも考えようよ。ぐちぐちって言い方はよくないよ」

「そうね…ごめん。アタシの直さないといけない癖だわ。…それじゃ、誰から始める?」

「わたし! 最初に賛成したのは、わたしだもの」

「うふふ。それなら私じゃない?」

「ダメ! わたしが最初!」

「わかったわ、あなたからどうぞ」

「やったー!」


……。

 

 

 

 

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「それじゃあ……。うーんと、もうすっごく昔のことみたいだけど、わたしはたぶん、誰かと詩を見せ合って楽しむために入部したんだと思う。詩は自分自身を表現するのにすっごく良いなって…みんなの負担にならずに自分の問題を共有できるかなって。それに、他の人のことを知るのにも、本当にいい方法だって思ったの。あっ、最初ここに来た時、部員がモニカちゃんだけですっごく驚いたけどね! しかも寝てたし!」

「あははっ、ちょっと思い出させないでよ!」

「えへへ。だけど、新しい部の立ち上げを手伝うのって、本当に楽しそうだなって思えてたよ。 あとさ…わたしは詩を書くことで本当に救われてきたから…、他の人にもそれを知ってほしくて。…でも実際、わたしの方が助けられちゃって。モニカちゃんはすごく優しくて大人で、何でも信じられるって思えた。わたしのダメなところも全部知ってる人がいてくれる。そしたら、自分は孤独なんかじゃないって思えるようになったの。そしたらね、きっと文芸部はたくさんの人にとって特別なものになれるんだって思えたんだ」

「ええ、私もそう思ったわ。そのおかげで、この部のビジョンがさらにまとまったわ。うん。それから、ユリちゃんが入部してきたんだけど、わたしたちと全然違っていたの。ナツキちゃんもね。ユリちゃんには、わたしが進んで話しかけたんだよね。それが、ちょっとだけ心を開いてくれるきっかけになったんだと思う。でもナツキちゃんは逆で。すぐに仲良くなりたいっていうタイプじゃなかった。わたし、そういうことで悩んだことなかったからさ。今は、一人ひとり求めているものは違うってことがわかるようになったの。それが本当にうれしくって。わたしには、友達が一番大切なものだから。もしまた、新入部員が増えたら、その人に合わせて力になりたいなって思う」

「あなたがいなかったら、私はこの部活を続けていなかったかもしれませんね」

「ホントに?」

 

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「ええ。つい最近のことではありますが、その頃の自分の行動を思い出すと頭が痛くなりますね…。目の前のことしか見ていなかったというか。私は、私と同じようにファンタジーが好きな人を見つけるためだけに入部したんです。友人が欲しかったんです。そして…居心地の悪さを感じました。お二人は、私とは違うエネルギーを持っていたから。サヨリちゃんが話しかけてくれても、私は仲良くなれないタイプだと決めつけていましたから、彼女の時間を無駄にしているだけだと思えてしまって。きっと私は……友情にとって重要なのは、趣味が合うことだと思い込んでいたんです。サヨリちゃんと仲良くなれたのは、サヨリちゃんがいつも相手のことを考えてくれていたからです。それは、私が考えもしなかったことでした。そのおかげで、私はこの部を続けようと思いました。そして私も、人のことをもっと理解できるようにがんばるようになりました」

「あなたは本当にがんばったわね。感動したもの」

「他人に好かれる振る舞いというのが、私にはどうしてもできなくて…モニカちゃんやサヨリちゃんにはできているのに。だから、そういう自分の行動や失言についてばかり考えていました。でも本当は、自分のことではなく、他の人のことをしっかり考えるべきだったんです。そうしたら、みんなと仲良くなれるようになりました。あと……話をするよりも、時間をかけて書くことの方がうまく気持ちを伝えられることもあるということを知りました。それは本当に不思議な気分で…そんなこと、思いもしませんでしたから。思いもしませんでしたが……幸せでした。きっと、自分が本当に必要としているものを、いつも自分がわかっているだけではないんですね」

「ユリちゃん…かわいすぎて気絶しそうだよ……」

「それはやめてくださいね、サヨリちゃん。それに私は……かわいくありませんから」

「ちょっと、それ私のセリフじゃない?」

「あっ……。いえ、私は、という話で、あなたは本当に……」

「ちょ、何言ってんのよ??」

「いえ、何も! 私の番は終わったので、次の方どうぞ!」

「何かドキドキする……」

サヨリ、深呼吸して落ち着いて……」

 

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「じゃあいいわ、次はアタシね。ユリ、嫌がってたアンタが、アタシよりも先に話すなんてね。とんだ目立ちたがり屋じゃない」

「私はただ……サヨリちゃんの後に続いただけです! 早く終わらせたかっただけですから……」

「それにアンタ、このクラブで得た一番大切なものを忘れてるわよ!」

「一番大切なもの…?」

「ええ。アンタが大好きなカップケーキの定期供給よ」

「ああ! わたしも忘れてたよ! カップケーキの女王様、お許しください……」

「アンタたち、どっちも許さないわよ。次にカップケーキを食べられるのは、モニカだけみたいね」

「そんなあぁぁぁ!」

「私はそんなにたくさん食べられないわよ!」

「ああ……そうよね。大食いなのはユリだけだもんね」

「ナツキちゃん!」

「アハハ! まあ、とにかく…前置きが長くなっちゃった。こういうのってなんか話しにくいのよね……。ま、単刀直入に言うと…アタシは入部した時よりもずっと、精神的に楽になったと思う。この部に入る前までの人間関係は、全然ロクなもんじゃないって気づかせてくれたし。正直、そういう関係を断ち切るのは、ホントにキツかった。今でも思い出したくない」

「ナツキちゃん……」

「大丈夫。それが一番の解決策で、正しいことだって分かってたから。よく考えると、結局何もかもの原因が『感情』だった。人に見せてもバカにされるだけなんだから、『感情』なんか無視しちゃえって思うようになっちゃって。それが間違いだって気づくのに、ホントに長い時間がかかったわ。みんなが時間をかけて、アタシの気持ちを理解してくれたおかげよ。アタシは最悪なヤツだったのに」


……。

 

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「みんなにも本当に最低な態度取っちゃって、ホントにごめん。ホントに最悪な……」


ナツキの声がか補足なっていく。


「わたしたちみんな、ナツキちゃんが大好きだよ…」

「アタシは……そんなヤツだった自分が大嫌い。みんなは本当によくしてくれたのに、アタシは何も返せなかった」

「そんなことないわ! ナツキ……あなたが思うよりも、もっともっとたくさんのことをもたらしてくれたわ。あなたがいてくれたから、今のこの部があるの。ウソじゃないわ」

「……」

「あなたが初めて来た時、私がどれだけ自分勝手だったか覚えてる? 文芸部はこうあるべきだっていう自分の考え以外、受け入れられなかったの。そっちの方が大事だった。あなたがもたらすかもしれないもののことなんて、考えもせず。あなたは私に、誰かを幸せにすることは素晴らしいことだと教えてくれた。ピアノを始めたのだって、あなたのおかげよ。あなたは私にたくさんの良い影響を与えてくれた。だから、自分を見下す必要なんてないのよ」

「……わかった……」


ナツキは涙を拭う。


「わたしだって、ナツキちゃんにすっごく助けられたよ! そばにいると、ホンットに楽しいし。それに、ナツキちゃんのおかげで人として成長できたと思う。問題があるからって、必要とされてないとか役に立たないとかってことじゃない。もっとより良くなれるってことだと思う。ナツキちゃんはもっと報われていいんだよ」

「…私も、そう思います。私たちは同じ苦しみを抱えているのだとわかって…私も人として成長できました。私は、ここで過ごす時間を変えたくありません。みんな、同じ気持ちだと思います」

「また感情的になっちゃって、悪かったわね。アタシが言いたかったのはそれだけ。次はモニカの番よ」

 

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「謝る必要なんてないわ。私も同じことを言おうとしていたの。私を大きく変えたことだから。私はいつも完璧主義で、他の人の良いところを受け入れようとしてこなかった。だけど、それは間違いだとみんなが証明し続けてくれた。自分のやり方こそが、誰にとってもベストだと思い込んでたし……。みんなの問題は、私が解決しなくちゃいけないんだって思い込んだり。だけど今は、自分は完璧なんかじゃないって認めて、何でもしてあげるんじゃなくて、皆を導くのがリーダーなんだって思えるの。私たちは、みんな素晴らしいわ。そして、みんな平等なの。それが、私がこのクラブで得た一番大事なことね。本当の意味での気づきだと思う。……サヨリ、何をしているの?」

「書き留めておこうとかなって思って! この部にまつわる、わたしたちにとって大切なこと」


チョークの欠片を手に取り、サヨリは黒板に「信じ合うこと」と書く。


「これはね、いい面だけじゃなくてわたしのことを何でも信じてもらえるって、みんなが教えてくれたから」


突然、ユリもチョークを手に取った。

彼女は「分かり合うこと」と書く。


「私は……。自分の気持ちをなかなか表現できない私を、時間をかけて理解してくれた皆さんに、本当に感謝しています」

「うーん、それなら……」


モニカもチョークを手に取り、「思いやること」と書く。


「私は自分が思いやりのある人間だとずっと思っていたけど、この言葉にはもっと大きな意味があると、この部が教えてくれたわ。それに、そのおかげで人としても成長できた」

「わたしね、もう一つあるよ!」


サヨリは「距離を見つけること」と書いた。


「それぞれ友情に違うものを求めてたり、仲良くなるには時間が必要な人もいる。だから、自分と他との人の間で、距離を保つことが大切だよね」

「でしたら……」


ユリが書いたのは、「見つめ直すこと」だ。


「私はいつも内省的でしたが……そうしていると、自分が間違っているんだと思うせいで、自分を嫌いになることばかりでした。自分ではなく他の人のことを見つめ始めたら、私の中でたくさんのことが変わったんです。だから、私にとって一番大切なのはこれですね」

「いいわね。たくさん出てきたわ」


突然、全員がナツキを振り返る。


「……だって、チョークは全部アンタたちが持ってるでしょ! そんな風に見ないでよね!」

「言ってくれたらよかったのに」


モニカは持っていたチョークをナツキへ手渡す。

それから、ナツキはため息をついて「自分を好きになること」と書いた。


「アタシがどれだけ自分を好きになっているか、まだわからないけど……。少なくとも、方向性は間違ってない気はしてる。そうね、だからこれにするわ」


部員みんなで、黒板の文字を眺める。


「このクラブって文芸部だったわよね…?」

「そうだよ! 文芸に関わることをもっとたくさんしなくっちゃ! 大切なのは、文芸と友情、だよね!」

「そうね…その通りだわ。文芸と友情……」


ナツキとユリも、穏やかにうなずいている。

 

 

 

 

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「……ねえ、みんなで写真撮ろうよ! まだ一枚も撮っていないでしょ?」

「あっ、ホントだ! 後でわたしのとこに送ってね!」

「待ってください、髪を整えなきゃ……」

「大丈夫よ。アタシたちの中で、アンタの髪が一番きれいなんだから」

「えっと……」

「もっとくっついて。じゃないとみんな入らないわ」

「はい……」

「みんな、準備はいい? それじゃあ……はい、チーズ!」


……。


「こういうことをみんなで話せて、本当にうれしいわ。忘れがちだけど、私たちはたった4人のメンバーで、これだけのことをしてきたのよね」

「そうだね! 今は幸せな気持ちでいっぱいだよ。いい詩が書けそうで、ビビッときてるんだ……」

「私も同じ。何か書き上げたい気分」

「わたしも!」

「私も…同じ気持ちです」

「……またみんなして、アタシを見ないでよね! アタシもやるわよ。けど、見せ合う気分じゃないのよね」

「大丈夫よ」


文芸部のメンバー4人は、それぞれ自分たちの机に戻り、ペンを持つ。

ナツキとユリは一瞬顔を見合わせると、すぐに書き始めた。

サヨリは伸びをした後、二人と同じように書き始める。

だがモニカは紙でペンをコツコツと叩いており、どこから始めればいいか分からないようだ。


「……。……手を動かせばいいの」


モニカは独り言をつぶやく。


「心へ続く道を書こう」

 

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思考、記憶、ひらめきで頭を満たし、モニカは心の壁を乗り越えて書き始めた。

どんなものであろうと構いはしない──ただ、それが新しいものであれば。


……。

 

 

 

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END