ゲームを読む。

-ノベルゲーム・タイピング-

逆転裁判 ─逆転のコンビネーション─ 第二話 《ドラマCD》

このブログは音声を文字起こししていますので、ネタバレを多く含みます。

読んで面白いと思ったら購入し、ぜひご自身で視聴してください。

ご意見・ご要望がありましたら
─メール─ zippydle.scarlet@gmail.com
または
Twitter─ @Zippydle_s
まで連絡下さい。


--------------------

 

 

逆転裁判ドラマCD 逆転のコンビネーション 第二話


……。


ナルホド「……あのぉ、君は一体、誰なんだ?」

???「アタイの名は、来恩寺マイ。その名を聞いたらサツも逃げ出す。“来恩寺組のメスライオン”たぁ、アタイの事さ!」

ナルホド「来恩寺マイ……。そういえば、シシオ君の妹が、そんな名前だったような……」

イトノコ「その妹さんが、自分らに何の用ッスか?」

マイ「フン! とぼけんじゃねー! テメェら、兄貴の恋路を邪魔する気だろーが!」

イトノコ「──! な、なんでバレてるッスか……!?」

ナルホド「そうか……! シシオくんの妹っていう事は、君がミウさんの友達の……」

マイ「あーそうさ! アタイはミウのマブダチさ! ダチの悪口は許さねー、兄貴の邪魔する奴もな!」


……。


マヨイ「な、なんだかすごい事になってるみたいだけど……」


マイ「そっちのちょんまげとヒラヒラした奴にも言っておくよ!」

マヨイ「え……? ちょ、ちょんまげって私の事!?」

マイ「これ以上、兄貴に関わるのはやめな! さもないと……」

ナルホド「……さもないと?」

マイ「アタイの中に棲む、一匹の獣が……目を覚ますぜ……!」

ナルホド「き……君もそれか……」

マイ「忠告はしたぜ。あばよ」


……。


イトノコ「……行っちゃったッス……」

ナルホド「な……なんだか……嵐みたいな女の子だったな」

マヨイ「ナルホドくん。今の女の子は誰なの?」

ナルホド「シシオくんの妹の、マイさんだそうだ」


ミツルギ「なぜ彼女がここに現れたんだ?」

マヨイ「一緒にご飯食べるつもりだったのかなー。……あれ、なんか落ちてるよ?」


イトノコ「写真ッスね」

ナルホド「写っているのは……シシオくん、か……?」

マヨイ「あの子が落としたのかな?」

ナルホド「自分のお兄さんの写真を持ち歩くのって、なんだか珍しいよな……」

マヨイ「それくらい、お兄さんの事が大好きなんだね、きっと!」

ナルホド「……そ、そうなのかな」


…………。


……。

 

 

 

 

マヨイ「おっかない女の人だったねー。あんな人がミウさんの友達っていうのも、不思議だけど」
ナルホド「とにかく、この前の作戦は色々とまずかったよ。……正直言って、少し甘かったかも知れない。この問題を解決するのは、思ったよりも難しそうだ」
マヨイ「次の作戦を考えないとね」
ナルホド「……次の作戦、って言われても……。マイさんにあんな事言われた以上、下手に手を出したら本当に彼女に何されるかわかったもんじゃないし……。もう少し、慎重に考えないと……。うーん」


──「困ってるみたいね、ナルホドくん」


ナルホド「……! って、この声は……! 千尋さん!?」

チヒロ「お久しぶり。どう? 頑張ってる?」

ナルホド「え、ええ! まあ……。っていうか、どうしたんですか? 急に……」

チヒロ「もちろん。ナルホドくんを助けに来てあげたの。あなたはこういう問題を扱った事が無いから、困っているだろうと思ってね」

ナルホド「お、おっしゃる通りです……」

チヒロ「いい? ナルホドくん」

ナルホド「は、はい!」

チヒロ「男女の色恋沙汰ほど、難しい事件は無いわ。……下手に手を出せば、こちらも火傷しかねない。コトは慎重に進める必要があるの」

ナルホド「はあ……」

チヒロ「ましてや今回の相手は、片や極道一家・来恩寺組の跡取り息子。もう一方は、検事局長の一人娘。……問題の解決に失敗すれば、 火種は周囲に飛び散って、大火事になるわよ」

ナルホド「え、ええ……。ですから、できるだけ大事にならない様にしようとは、思ってるんですけど……」

チヒロ「こういう時は、大胆な作戦をとるべきね」

ナルホド「──! さっき、慎重に進める必要があるって……」

チヒロ「慎重かつ大胆に……。それが恋愛の鉄則よ!」

ナルホド「……チヒロさん、なんだか楽しそうだな」

チヒロ「発想を逆転させるのよ! ナルホドくん。いくら周りが説得しても、彼は気持ちを変えない。それなら、彼自身のミウさんへの想いを……別の方向に向けさせるの」

ナルホド「……それって、つまり……」


…………。


……。

 

──コン、コン……。


ミツルギ「入りたまえ」


ナルホド「御剣! 新しい作戦を考えたぞ」

ミツルギ「新しい、作戦……?」

ナルホド「あ、ミウさん。いたんですか」

ミウ「あ、はい……。御剣検事に、呼ばれまして……」

御剣「……ミウさん。来恩寺マイという女性について、ご存知だろうか」

ミウ「あ、はい。マイマイですね」

ナルホド「ま、マイマイ?」

ミウ「シシオさんの、妹で……。私の、大学の友だちです……。とっても可愛いんです」

ナルホド「あれを、可愛いっていうのか……」

チヒロ「女性の心理は複雑なのよ、ナルホドくん?」

ナルホド「はあ……勉強になります」

ミツルギ「昨日、その来恩寺マイマイが現れ、我々に兄の邪魔をするなら容赦はしない、と……脅迫をかけていった」

ミウマイマイなら、言いそうです……。お兄さん想いの、とっても良い子だから」

ナルホド「あれを良い子っていうのか……」

チヒロ「女性の友情は不可解なのよ。ナルホドくん?」

ナルホド「……勉強になります。いや、ならないか……」

ミウマイマイはシシオさんの事……大好きなんです。シシオさんもマイマイの事、可愛がっていて……」

ミツルギ「それならば、彼女に相談はしないでもらいたい」

ナルホド「どうしてだ?」

ミツルギ「我々の動きが漏れる可能性があるからだ。……そうなれば、また昨日の様に彼女に邪魔をされるだけだ」

ナルホド「……確かに、その通りだな」

ミウ「……わ、わかりました。マイマイには、黙っておきます……」

ミツルギ「そうしてもらえるとありがたい。……さて、それでは成歩堂。新しい作戦というのを説明してもらおうか」

ナルホド「ああ、そうだな。」


…………。


……。


ミツルギ「ふむ……。つまり、シシオ自身の気持ちを、ミウさんから別の女性に向けさせるというわけか」

ナルホド「そうだ。いくら追いかけたところで、ミウさんは自分の方になびかない。 そこへ、自分に気がありそうな魅力的な女性が現れれば……。彼のミウさんへの気持ちも自然と消滅し、付きまとうことも無くなるはずだ。……で、いいんですよね?」

チヒロ「ええ、そういう事よ」

ナルホド「まあ、問題は……シシオくんの気を引こうとする女性を誰にするかなんだけどな。……少なくとも、ミウさん並みに魅力的な女性じゃないと駄目だろう」

ミウ「そんな……」

チヒロ「今のセリフ……。もし春美ちゃんが聞いていたら、間違いなく往復ビンタされていたと思うわよ?」

ナルホド「……っ……。そういうつもりで言ったんじゃ、無いんですけど……」

ミツルギ「……うむ。一人、適役がいる」

ナルホド「えっ。気を引く役の、女性の事か?」

ミツルギ「うむ。彼女ならば、問題無いと思われる」

ナルホド「だ、誰の事を言っているんだ……?」


…………。


……。

 

カルマ「どういう事なの? 怜侍。どうして私が、極道一家の跡取り息子の気を引かなければならないのかしら?」

ミツルギ「それは……。成歩堂がそういう作戦を立てたからだ」

ナルホド「ええっ!? そこで僕に振るのか!?」

カルマ「……成歩堂龍一


──ッ!!


ナルホド「いてぇっ!!」

カルマ「バカがバカなりにバカな作戦を考えたものね……。この私を巻き込もうなんて……! いい度胸をしているわ」

ナルホド「狩魔検事を選んだのは御剣なのに!」

ミツルギ「来恩寺シシオと対等に渡り合える、気が強い女性という事なら……。冥(めい)は適役だと思ったまでだ」

ナルホド「……でも、気が強いだけじゃなくて、魅力的じゃないと──」


──ッ!!


ナルホド「ぎゃあ!!」

カルマ「口は災いの元よ、成歩堂龍一。……いずれにしろ、私はそんな役目を引き受けるつもりはない」

ミツルギ「いや……。君は引き受けるしかない。なぜなら、これは宇鷺検事局長からの直々の命令だからだ」

カルマ「……検事局長からの……」

ナルホド「……あれ? 命令じゃなくて、御剣が相談されただけなんじゃ……」

チヒロ「……さすがは御剣検事ね。法廷さながらのハッタリだわ!」

ナルホド「い、いいのかな……それ」

ミツルギ「検事局長の命令に背くつもりか? ……いや、それよりも。来恩寺シシオの気を引く自信が無いのか? それならそう言いたまえ。私としても、自信の無い人間に頼むつもりはない」

カルマ「……っ! 言ってくれるわね……。怜侍」

チヒロ「見事な挑発だわ……! これで狩魔検事も乗るしかなくなった!」

ミツルギ「どうするのだ? やるのか、やらないのか。ハッキリしたまえ」

カルマ「……っ!」


──ッ!!


ナルホド「どわぁっ!! ……な、なんで僕……!」 

カルマ「これが私の答えよ」

ナルホド「鞭じゃなくて、ちゃんと答えてくれ!」 

カルマ「狩魔はカンペキをもってヨシとする。……やる以上は、必ずやその男を振り向かせてみせる!」


…………。


……。

 

ナルホド「ミウさんは、どうしたんだ?」

ミツルギ「もちろん今回も、自宅で待機してもらっている。シシオに姿を見られるわけにはいかないからな」

ナルホド「まあ、そうだな……。ところで、どうして僕たちはこんな町の中で待機してなくちゃならないんだ?」

ミツルギ「作戦の決行場所は、冥自身がここを指定してきたのだ」

チヒロ「シッ……! 狩魔検事が来たわよ」

ナルホド「あっ……! 向こうからは、シシオくんも来ましたよ」

チヒロ「このままだと、二人はあの曲がり角で鉢合わせしそうね……!」

ナルホド「ま、まさか……。狩魔検事の狙いは……」


……。


カルマ「わっ」
シシオ「おっと……。すまねぇ、大丈夫か? 姉さん」
カルマ「え、ええ。ごめんなさい。前をよく見てなかった私が悪かったわ」


ナルホド「や、やっぱりそうきたか……! 曲がり角でぶつかって出会う男女なんて……。まさかそんな超古典的で王道でベタなパターンでくるとは……! さすがは狩魔検事」


シシオ「立てるか?」
カルマ「……ええ、なんとか。手を貸してもらえるかしら?」
シシオ「ああ。ほら、つかまりな」
カルマ「……ありがとう」
シシオ「……? なにか落としたぜ。……こいつは、“鞭”……か?」


ナルホド「あ、あの鞭……! いつも持ち歩いてるんだ……」


シシオ「こいつは驚いたな。鞭を持ち歩いてる女なんて、はじめて見たぜ」
カルマ「世の中には、そういう女もいるのよ。そんな事も知らないなんて、見かけによらず……世間知らずの坊やなのね」
シシオ「ふっ、言ってくれるじゃねえか。姉さん」


ナルホド「い、いきなり挑発してるよ……」

チヒロ「ああやって相手を自分のテーブルに乗せてしまう……。狩魔検事らしいやり方ね」


シシオ「そんなものを持ち歩いてるってことは、あんたもそういう筋の人間なのか?」
カルマ「そういうあなたこそ……。カタギの人間らしからぬ雰囲気を持っているわね」
シシオ「なら俺が何者なのか、当ててみな」
カルマ「そうね……。この危険なにおい。やんちゃなイタズラ坊や……といったところかしら」
シシオ「……ふ、ふはははは! ははははは! ますます気に入ったぜ! あんたの言うとおり、俺はカタギの人間じゃねえ。そいつを一発で見破るとは大したもんだなぁ、姉さん」
カルマ「当然よ。狩魔のロジックはカンペキなの」
シシオ「……どうだい? ぶつかったお詫びに、メシでも奢るぜ。すぐそこに旨いフランス料理を食わせるメシがあるんだが」
カルマ「そうね、ご馳走になろうかしら」


ナルホド「……それにしても、思った以上に良い雰囲気になってるよな」

ミツルギ「……うむ。私自身、まさかここまで上手くいくとは……予想外だ」

 

シシオ「じゃあ、さっそく……。ちょいと待ちな! ひざから血が出てるじゃねえか、姉さん」
カルマ「え? ……ああ、さっき倒れた時に擦りむいたのね。このくらい大した事無いわ」
シシオ「そういうわけにはいかねぇよ。ここで待ってな。今そこの薬局で、絆創膏でも買ってきてやるからよ」

 

ナルホド「……あれ? シシオくんが行ってしまったぞ」

チヒロ「ひざを怪我したみたいだから、薬でも買いに行ったんじゃないかしら? あ、狩魔検事がこっちを見ているわよ」

ナルホド「うわぁ、なんだかものすごい勝ち誇った顔をしているんだけど……」

ミツルギ「……っ……待て! ……あれは」


──「おい、テメェ!」


カルマ「……なにかしら?」
マイ「なにかしら、じゃねえ! このアタイに断りもなく、兄貴に色目なんて使いやがって!」


ナルホド「……! マイマイ!?」

チヒロ「ど、どうして彼女がここに……?」


カルマ「バカがバカな顔をしてバカな文句を言わないでほしいわね。誰が、誰に色目を使ったっていうの?」
マイ「テメェが、アタイの兄貴にだ!」
カルマ「あの男とは、“たまたま”この角でぶつかっただけよ。つまらない言いがかりはやめてもらいたいわね」
マイ「フン、よく言うぜ! なにが“たまたま”だ! 最初から兄貴の気を引く為の作戦だったんだろうが!」
カルマ「なっ……」


ナルホド「ま……まさかミウさん、あれだけ言ったのに彼女に情報を漏らしちゃったのか……?」

ミツルギ「いや……。そんな事は無いと思うが……」


マイ「つまらねぇ方法で兄貴の気を引こうとしてるんじゃないよ! 兄貴がそんな手に引っ掛かるとでも思ったら、大間違いだよ!」
カルマ「な、なんのことかしら……? 私は、ただ……」
マイ「はぁ? この期に及んでまだとぼける気かい? さすがに検事様は神経も図太いね!」
カルマ「……っ……」


ナルホド「か、狩魔検事の正体までバレてるぞ……! まずくないか?」

チヒロ「まずいわね……! いくら狩魔検事とはいえ、こんな町の中の、公衆の面前でバレたりしたら……! きっと……」

ナルホド「どうなるんですか……?」

チヒロ「……とても恥ずかしがると思う」

ナルホド「……え?」


マイ「検事ともあろう者が、こんな町の中で堂々と男をナンパしようだなんて……。随分、大胆だねぇ!」
カルマ「……っ……! お、大きな声を出すのはやめなさい」
マイ「はっ! だったらあんたがアタイを黙らせたらどうなんだい? そのお得意の鞭で、アタイを叩いてさ!」
カルマ「……ぐっ……」


ナルホド「た、たしかに……。恥ずかしそうですね」

チヒロ「プライドの高い彼女の事だから、こうなるのは当然よ」

ナルホド「でも、さすがの狩魔検事も町の中で鞭を振るうわけにはいきませんからね……」

チヒロ「ましてや相手は一般人よ。そんな事をしたらどうなるか、彼女もよくわかってる……。だからこそあの子もああやって、狩魔検事を挑発してるんだろうけど」


マイ「ほら、どうした? 叩かないのかい? だったらアタイも喋り続けるよ! 狩魔検事は、人の恋路を邪魔するとんでもない検事様だって、さ!」
カルマ「い、言わせておけば……! 調子に、乗って……!!」


ナルホド「ま、まずいぞ御剣! そろそろ狩魔検事の堪忍袋の緒が切れそうだ! ……あれ、御剣?」


──「そこまでだ、冥」


カルマ「……れ、怜侍! 放しなさい!」

ミツルギ「作戦は中止だ。戻るぞ」

カルマ「で、でも……!」

ミツルギ「これ以上騒ぎを大きくしても、お前が恥をかくだけだ」

カルマ「……っ……!」

マイ「……忠告しておくぜ。次、また兄貴の邪魔をしたら……。 今度こそあんた達をぶっ潰してやるからな!」

ミツルギ「覚えておこう……」

マイ「ふん! あばよ」


…………。


……。

 

ナルホド「……またしても作戦失敗か」

チヒロ「顔を上げなさい、ナルホドくん。弁護士は、ピンチのときほどふてぶてしく笑うものよ」

ナルホド「……はあ。ピンチになったのは、僕というより狩魔検事の方ですけど……。その、狩魔検事は?」

ミツルギ「自分の執務室で、顔を真っ赤にして伏せっている」

ナルホド「意外と、可愛いところあるな……」

ミツルギ「いずれにせよ、作戦も失敗に終わった。あの来恩寺マイマイという妹のせいだ……」

ナルホド「どうしたもんかなぁ……」

ミツルギ「実はさっき、宇鷺検事局長から連絡があった。近々、ミウさんにお見合いをさせることにしたらしい」

ナルホド「え……お見合い?」

ミツルギ「この件がシシオの耳に入れば……。奴の事だ、大胆な行動を起こしかねない」

ナルホド「大胆な行動って……?」

チヒロ「ミウさんを強引に連れ出したりとか……ね」

ナルホド「それはさすがにまずいじゃないですか!」

ミツルギ「そうなる前に、一刻も早くシシオをミウさんから遠ざけろと言う指示だ……。こうなった以上、もう少し強烈な一手を打つしかあるまい」

ナルホド「強烈な一手……? なにか、考えがあるのか?」

ミツルギ「ああ……。ある!」

ナルホド「そ、それは……!」


つづく