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Steins;Gate Drama CD Audio Series - Labmem Number - 002☆Shiina Mayuri

このブログは音声を文字起こししていますので、ネタバレを多く含みます。

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Steins;Gate Drama CD Audio Series - Labmem Number - 002☆Shiina Mayuri

 

7月28日 11時33分


まゆり「うっははー! この自動販売機、いつもチェックしてたけど“みそ味のおでん缶”なんてあったかなぁー。ううん、昨日まではなかったはず! きっと新作だー! あははー、見つけちゃったからにはおでん缶ハンターとして買わないわけにはいかないのです。ふふふ~、ジャジャーン! よいしょ、よいしょ」


自動販売機にお金を入れ、おでん缶が出てくる。


「今日のお昼ごはんはこれで決まり~! ……でも、ジューシーからあげナンバーワンも買っちゃったんだった~……。どうしよう? うーん……。まいっかー! どっちも食べればいいや。オカリンやダル君にも手伝ってもらえれば、すぐだよねー」


秋葉原で過ごす、はじめての夏休み。

こうしてこの街に毎日来るようになって、もう4ヶ月くらいになるんだなぁ。

なんだかねぇ、あっという間だったかも。

元々まゆしぃはオタクさんだし、今ではね、すっかり自分がこの街に溶け込んじゃってる気がするよ。

ラボがあって、メイクイーンがあって、同じ趣味のお友達がたくさんできたこの街がねぇ、まゆしぃは大好き。

今年の夏は、どこにも行かなくていいから……。

この街でのんびり楽しく過ごせたらいいなぁ。


──突然、けたたましい音が響く。


まゆり「……っ……今の音……何だろう……?」


…………。


……。

 

 

 

 


まゆり「はぁー、ラボとうちゃーく! よいしょ、トゥットゥルー♪ オカリーン、いるー? ……ん-?  オカリーン、寝てるのー?」


岡部「……っ……。眩しいよ……」
まゆり「あはは、もうお昼だよ? 夏休みだからってねー、昼夜逆転し過ぎだと思うなー」
岡部「……? まゆりかー……今、何時だ?」
まゆり「ん? もうすぐ正午だよ」
岡部「……そうかぁ、正午か…………って、なに!? 正午!? 本当か!?」
まゆり「うんー」
岡部「しまったー、完全に寝過ごしたー! 俺は、行かなければ!」
まゆり「行くって、どこにー?」
岡部「なんという不覚! まさか、目覚ましをかけ忘れるとは……! これも、機関の陰謀か! 予定ランデブー時間である12時まで、あと30分もないぞ! それまでに、駅前に辿り着かないと……!」
まゆり「……オカリン、寝ぐせすごいよー? そのままで出かけたらねー、笑われちゃうと思うなー」
岡部「かまわん! むしろ寝ぐせは、マッドサイエンティストのトレードマークだしな」
まゆり「あー、あとね。朝ごはんも食べなきゃ。この時間ならお昼ごはんかな? ちゃんと食べないとね、1日分のパワーが出ないんだよ?」
岡部「遅れそうなのにそんな悠長なことはしていられないだろう! ……ふっ、俺はこの白衣さえあれば問題ないの……ん……? んんっ!? なんか、この白衣……いい匂いがするな」
まゆり「昨日、まゆしぃがお洗濯しておいたのでーす」
岡部「そうか! ご苦労、だが今後はわざとシワだらけになるようにしておいてくれ。その方が、マッドサイエンティストっぽい」
まゆり「ねえねえ、オカリンオカリン。それよりこれ見てー! ジャーン! みそ味のおでん缶!」
岡部「……お前は、本当におでん缶が好きだな」
まゆり「うん、好きだよ。あとね、からあげはもっと好きです!」
岡部「……起き抜けだからメシはいらん」
まゆり「おなか空いちゃうよ?」
岡部「発表会が終わったら、どこかで食べるさ。……それより、えっとリモコンはどこだ?」
まゆり「リモコン? 未来ガジェット1号さんのこと?」
岡部「違う、テレビのリモコンだ。天気予報を観たい」
まゆり「お外はねー、とってもいい天気だったよー。暑くて汗ばむくらい」
岡部「フフフ、甘いな。いいか、まゆり? 大事なことを教えてやる。目で見たものだけを信じるな」
まゆり「ほへー?」
岡部「……お、あった。ダルめ……リモコンをトイレに置きっぱなしにするなと何度言わせればわかるんだ!」


テレビを点ける岡部。


『──の物体について、慎重に調査するとともに、各国政府と情報交換を行うということです。えー、繰り返します。本日午前11時半ごろ、東京秋葉原の駅前に……えー金属上の巨大物体が墜落したと警察と消防に連絡が──』


岡部「……え? なんだこれ」
まゆり「今、秋葉原の駅前って聞こえたよ……?」


『──なお、この事故における死傷者はいないということです』


岡部「墜落……? 巨大物体ってなんだよ」
まゆり「あー! 見てみて! 画面に映ってる!」
岡部「ちょ、おいおい! 人工衛星が、ビルにめり込んでるじゃないか!」


『──現場には、レポーターの細野さんがいます。呼んでみましょう、細野さーん。……細野さん? 聞こえますか? ……細野さん? ……はい、どうやらつながっていないようですので……えー、政府は先ほど談話で、テロの可能性はないと発表しました。墜落した物体の形状が、人工衛星のようにも見えることから、この正体不明の物体について慎重に調査するとともに、各国政府と情報交換を行うということです。繰り返します、本日午前11時半ごろ──』


まゆり「11時半って、ついさっきだよねー? まゆしぃもそれよりちょっと前に駅前通ったよ?」
岡部「あの人工衛星……。爆発とかしないだろうな……? というか、あの状況で一人も死人が出てないのか? ミラクルすぎるだろ。……なぁ、まゆり。俺、これからまさにこの墜落現場に行こうとしてたんだぞ」
まゆり「え!? そうなの?」
岡部「信じられるか? ドクター中鉢のタイムマシン発表会は、あそこで12時からやるはずだったんだ」
まゆり「……じゃあ、間一髪だったんだね。オカリンが寝坊して良かったー……」
岡部「ああ……。だがこれは偶然じゃない。陰謀のにおいだ」


岡部が携帯を耳に当てる。


岡部「俺だ。ニュースを見たか? ……ああ。間違いなくこれは、奴らによる牽制と考えていいだろう」


それは、オカリンのいつもの癖。

急に電話に向かって難しい話を始めるの。

今まで何度訊ねてもね、電話の相手は誰かは教えてくれなくて……。

まゆしぃも、もうすっかり聞き流すようになっちゃってた。

でも、この時は……。


岡部「そうだ……。これは、俺たちに対する警告だよ。ふっ、ああ…・・。ドクター中鉢というイレギュラーも、少しは役に立ったというわけさ」


……やだな、この感じ。

この時はなぜか、そんな風に思ったのです。


岡部「ああ。賽は投げられてしまった。ここでどう動くかによって、世界の命運は決まると言っても……過言じゃない。……ふっ、了解だ。作戦をフェイズ2へ移行する。全ては運命石の扉(シュタインズ・ゲート)の選択だよ。エル・プサイ・コングルゥ


岡部は携帯をポケットにしまう。


岡部「まゆり。俺は少し出かけてくる」
まゆり「駅前に行くの? 危ないよ!」
岡部「止めるな。行って確かめないと、これが最悪の予兆なのかどうかを」
まゆり「……うんと、うんとねー。止めるなっていうことは、止めろっていう振りかなぁ?」
岡部「ちーがーう! 本当に止めるな!」
まゆり「……オカリーン」


きっとね、オカリンはそう言うと思ってた。

止めても無駄だってわかってた。

本当のオカリンは、怖がりさんのはずなのにね。

一人でどんどん先に行っちゃって……。

まゆしぃはいつもそれを追いかけるの。

ねぇオカリン、知ってる?

まゆしぃはね、オカリンの背中を追いかけながら……いつもこう思ってるんだよ?


まゆり「……置いていかれたくないな」
岡部「ん? なに? なにか言ったか?」
まゆり「オカリン、まゆしぃも一緒に行っていい?」
岡部「な!? 駄目だ! 危険すぎる! これは遊びじゃない、実戦なんだぞ!」
まゆり「実戦、って?」
岡部「え? ……それくらいの危険度っていうことだ!」
まゆり「でも、でもね。まゆしぃは、オカリンの人質だから……」
岡部「……いや、まあそうだが」
まゆり「だからね、まゆしぃも連れてってほしいよ……。置いていかないでほしいよ。駄目、かな……」
岡部「……。はは、フゥーハハハ! まゆり! お前は勘違いしているぞ!」
まゆり「……え?」
岡部「お前には、はじめから選択肢などない! どれだけ嫌だと言っても、俺が強引に連れて行く! 人質に逃げられてはかなわないからなぁ!」
まゆり「オカリン……! うん、ありがとう!」
岡部「ふ……。いいか、決して逃げようとするなよ。俺から離れたりしてみろ、絶対許さないからな」
まゆり「わわわ、今のオカリンのセリフねー、すごく恥ずかしい──」
岡部「だ、黙れ! お前までダルと同じく、中二病乙とかいうつもりか!? 人質は、口答えするなっ!」
まゆり「……うん!」


でも、そうじゃないよ。

確かにすごく恥ずかしいセリフだけどね。

まゆしぃは、そういうセリフを言ってる時のオカリンがけっこう好きなのです。

あのね、まゆしぃはオカリンの重荷にはなりたくないんだ。

だけど、置いていかれたくもないから……。


まゆり「ところでオカリン。出かける前にご飯食べておこうよー」
岡部「……なんでお前はそんなにのんびり屋なんだ……。早く準備しろ」
まゆり「えへへ、ごめん」


だから、これからも……。

少し後ろから、オカリンの背中を見失わないようについていくね。

まゆしぃは、ただそれだけで幸せなんだよ?


……。