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STEINS;GATE ANTHOLOGY DRAMA CD -幻視空間のリユニオン-
岡部「んん……っ……!? 無い! 無いではないかっ! 一体どこにいってしまったというのだっ!」
ダル「どうしたん? オカリン」
紅莉栖「どうせまた大したことでもないのに大騒ぎしているだけでしょ?」
岡部「これを大したことと言わずしてなんという!?」
紅莉栖「はいはい。……で? 冷蔵庫を覗き込んでなにが無い、って騒いでいるのよ?」
岡部「プリンだ……」
紅莉栖「はぁ?」
岡部「はぁ? ではない! 昨日買って冷蔵庫に入れておいたはずの我がプリンが無くなっているのだ!」
──ミーン、ミン、ミーン……。
ダル「じゃ解散っていうことで」
紅莉栖「さてと、買い出しにでも行ってくるか──」
岡部「ウェイウェイウェイウェイウェイウェイ、ダルに助手よ……! お前たちは、我が"頼れる右腕(マイ・フェイバリット・ライトアーム)"と助手ではないのか!? この非常事態を見過ごすというのか──」
紅莉栖「わざわざ助手を繰り返すな! ……ってか、おおかた自分で食べて忘れちゃってるんでしょ? はい、論破終了。私は忙しいの」
ダル「僕もしおりたんの図書委員の仕事を手伝わうのに忙しいんだお。ほらぁ、本ってけっこう重いじゃん? 二人だけだと大変だしぃ。でもさ、そんな重労働の後に……また別の労働が待っている予感がするんだよね……もちろん性的な意味で!」
紅莉栖「HENTAIは死ね!」
岡部「……っ……ああ、俺だ……。ラボの人間が怪しいことはわかっている……。明らかに、話を逸らそうとしているからな。だが……内部の人間が既に、"機関"の手によって篭絡されているならば……。場合によっては、オペレーション・バルバロッサを発動させなくてはならない! ……危険過ぎるって? ああ、それはよくわかっているさ……」
紅莉栖「だから! オペレーションなんとかもプリンも、全部あんたの妄想だったんじゃないの?」
岡部「……妄想ではない! ちゃんと名前も書いて置いてあったのだ──あ、さては……!」
紅莉栖「……? キッチンなんて行ってどうしたのよ?」
岡部「……っ……フフフ……フゥーハハハ! 見るがいい! これでもまだ妄想と言い張るか!」
──デデン!
ダル「本当だ! 空の容器に名前が書いてあるお」
紅莉栖「……自分のプリンに"鳳凰院"って書いちゃう男の人って……」
岡部「これで──ラボの誰かが俺のプリンを食べたことが確定したよう、だが……。証拠隠滅に失敗するとは──どうやら犯人は、ドジっ娘属性の持ち主のようだ、なっ!」
紅莉栖「こっち見んな。私にドジっ娘属性は無い」
岡部「残念だ、助手よ……。"機関"のエージェントから改心したと思っていたのだが……また寝返ることがあろうとは──」
紅莉栖「はいはい、妄想乙。……だいたいなんで私があんたのプリンを食べるのよ。私はちゃんと自分の分があるもの」
ダル「そういえば……。牧瀬氏さっきプリンを食べてたけど……」
紅莉栖「だから、私は自分のぶ──あ……」
岡部「わかったぞ!」
紅莉栖「あぁ、ちょっとっ!?」
──冷蔵庫を開ける岡部。
岡部「フゥーハハハ! 思ったとおりだ……。ここに、"牧瀬"と書かれたプリンが入っているではないかぁ……」
紅莉栖「だから……それは……」
ダル「牧瀬氏、間違って食べたん?」
紅莉栖「──!? ……ぐ、ぬぬぬ」
岡部「どうやら……助手風情が、この俺……鳳凰院凶真のプリンと間違えたらしいが……。犯人はドジっ娘属性の持ち主という俺の推理が当たっていたということだな」
紅莉栖「だからっ、ドジっ娘言うな! ……い、いいでしょっ!? おんなじプリンなんだから。それをあんたが食べればいいじゃない」
岡部「同じではない、助手よ! そもそも、"鳳凰院"と書かれていたではないかっ!」
紅莉栖「だから──考え事していて、ついうっかり……」
ダル「それがドジっ娘と思われ」
紅莉栖「……っ……仕方ないでしょ? だ、だって……"鳳凰院プリン"って読めるじゃない? "森永"さん家のプリンも、"小岩井"さん家のプリンも同じでしょ?」
岡部「フッ、どうやったら読めるというのだ!? ……だいたい、フェニックスの鳳凰に院という……世界の支配構造に混沌と変革をもたらす高貴な名のプリンが、どこに存在するというのだっ! 屁理屈を言うな!」
紅莉栖「今日のお前が言うなスレはここですか? ……だいたい、"鳳凰院"なんて誰のことよ?」
岡部「俺の名前だ。……そもそも助手の分際で、我がプリンを食べた責任はどう取ってくれるのだ?」
紅莉栖「だから……。私のをあげるわよ」
岡部「ほう……? それだけで済まそうと言うのか?」
紅莉栖「どうしろっていうのよー……はぁ……。"ごめんなさい、テヘペロ☆(・ω<)" ……これでいい?」
岡部「いいわけなかろうが! ……借りにもだ、この……アイザック・ニュートンと同じIQ170の脳細胞が適切な糖分の補給を求めているときに、お前はそれを邪魔したのだぞ。……それによって、この狂気のマッド・サイエンティストが生み出す貴重なアイデアの数々が、このようなくだらんやり取りで損なわれてしまったのだ……っ! これを、世界の損失と言わずして、なんとする!」
紅莉栖「まーたメンドくさいのが始まったぞ」
岡部「つまり! お前には、それ相応の対価を払う義務がある……」
紅莉栖「はいはい、わかったわよ。たしかに勝手に食べてしまったことは悪かった、で……なにをすればいいのよ?」
岡部「体で払ってもらおう……!」
紅莉栖「…………ふぇっ!?」
ダル「キターーーーー!! ツンデレ少女のエロイベントktkr!! 牧瀬氏がまさかの凌辱系のヒロインだったとはっ! この僕の目を持ってしても見抜けなかったでござる!」
紅莉栖「ちょっ……!? エロイベントって──」
ダル「HENTAIの言いなりになるなんて悔しい……あぁ、でも……っ……という展開になるんですねよくわかります」
紅莉栖「死ねぇ!! エロゲ脳のHENTAIは、今すぐ死ね!!!」
──ッ!!
ダル「──ぐはっ! ……ヤンデレでござったか…………ガクリ……」
紅莉栖「おーかーべー……!」
岡部「ま、まま、待てクリスティーナ! 俺が言ったのはダルの言うような意味では無いっ!」
紅莉栖「……あんたも、橋田並みのエロゲに毒されたHENTAIだったとはね……! ……はぁ……はぁ……死ねぇ!!」
──ッ!!
──ッ!!
岡部「わ、わわ……っ! モノを投げるな! クリスティーナ、人の話を聞けぇ!」
紅莉栖「HENTAIの話なんか聞けるか!! ──ふんっ!」
岡部「ま、待て……! そんなものが当たったら……死ぬぞ……!」
紅莉栖「死ね! HENTAI!!」
岡部「本当に殺す気かっ! 天才少女がそんなことしていいのかっ!?」
紅莉栖「……岡部?」
岡部「……へ?」
紅莉栖「昔読んだ本をね、思い出したの」
岡部「……なにをだ?」
紅莉栖「天才はね、人を殺しても……許されるんだって──」
岡部「それはロシアの小説の話だっ!」
……。
まゆり「ジューシーからあげナンバーワン! ワンッ!」
──ラボの扉を開けるまゆり。
まゆり「トゥットゥルー♪ みんなおはようー! …………あれぇ?」
紅莉栖「……っ……死ねぇ、HENTAI! 今ここで、滅びろぉぉ!!」
岡部「お、おお、落ち着けクリスティーナっ!」
まゆり「どうしたのみんなー? クリスちゃんが荒ぶっているよー!」
岡部「ま、まゆりっ! 助けてくれ……!」
まゆり「オカリーン、クリスちゃんどうしちゃったのー!?」
岡部「急に逆ギレして暴れ出したんだっ!」
まゆり「……えぇ?」
クリス「……っ……岡部ぇ! ──覚悟っ!!」
──ッ!!
岡部「ぐはぁっ……!?」
まゆり「わ……! オカリン!?」
…………。
……。
──ミーン、ミン、ミーン……。
岡部「あてて、い、いた、いたたた……。もっと優しくやってくれ、まゆり……」
まゆり「あは……ごめんねぇ……」
紅莉栖「大げさなのよ、あんたは」
岡部「……加害者が言うセリフか」
紅莉栖「あんた達がおかしなこと言い出すからでしょ? ……こっちが被害者だわ」
ダル「だって……体で払え、ってエロイベントの他に考えられないだろ常考」
紅莉栖「ほら」
岡部「……だから、誤解だと言っているだろう! 話を聞かないお前が悪い」
まゆり「でも、これはオカリンが悪いよー」
紅莉栖「そうだよねぇ、まゆり」
岡部「そんなことはない!」
紅莉栖「だったら、なんで体で払えなんて言ったのよ?」
岡部「俺は、"鳳凰院凶真プリン"を失ったその代償として、クリスティーナにはこれに参加してもらうつもりだったのだ──ほれ」
紅莉栖「? なにこれ。……チラシ?」
まゆり「あぁー! これって、コスプレ大会だよね!?」
紅莉栖「……? コスプレ?」
まゆり「うん、今度の日曜日に秋葉原UPXで開催されるんだよー」
紅莉栖「なっ……!? なんで私がそんなものに出なきゃならないのよ!」
ダル「おぉ、確かこのイベント……スポンサーが付いてて優勝者には賞金が出るんだよねっ」
紅莉栖「……まさか……あんた──」
岡部「フゥーハハハ! さすがはダルよ……。この俺の神にも似た、深慮遠謀を見抜くとは……」
紅莉栖「いや……どう見ても浅はかです。……要するにお金目当てってことでしょ!?」
岡部「我がラボは! 今、危急存亡のときを迎えている……。度重なるミスター・ブラウンの家賃の催促に対抗するには、これしか方法が残されていないのだっ! ……さぁ、行くがいいクリスティーナよ。なんとしても優勝賞金をゲットし……あのハゲ頭の上に、札束を乗っけてやるのだ──」
紅莉栖「だが断る」
岡部「……クリスティーナよ。今、俺の耳には……"断る"と聞こえたのだが……?」
紅莉栖「だったらあなたの耳は正常なようね。良かったじゃない、おかしいのは頭だけで」
岡部「なにっ……! お前は、助手だろう! 本来だったら、言われずとも参加するのが助手の務めというものだろうが!」
紅莉栖「だから助手じゃないと言っとろーが! ……だいたい、なんで私がコスプレなんかしなきゃならないのよ?」
岡部「ラボのためだと言っとろーが! ……この賞金があれば、ラボの資金難は一気に解決する……! ラボメンみんなが幸せになれるのだ!」
紅莉栖「私は幸せじゃないだろ!? ……あーもう、まゆりからもなんとか言ってやってよー」
まゆり「でも、これはクリスちゃんが悪いよー」
紅莉栖「ほら! まゆりも私が悪いって──えぇっ!?」
岡部「んんっ!? ほーーう……。確かにまゆりも助手が悪いと言っているようだな……」
紅莉栖「ちょっ……ちょっと、まゆり? さっきと言ってること違うじゃない!」
まゆり「人のプリンを食べちゃうのは、いけないことなのです」
紅莉栖「ま、まゆり……! それはそうだけど、さ……」
まゆり「でもね! 心配しないでクリスちゃん! こんなこともあろうかと、まゆしぃはクリスちゃんのコスプレを用意しておいたのでーす」
紅莉栖「いや……私はそんな心配をしているわけではないのだが……」
岡部「くくく……。まゆりはクリスティーナにコスプレをさせったがっていたからな。チャンスは最大限に活かすということか。目的のためには手段を選ばない非道っぷり……。オタク女子、侮りがたし!」
ダル「まゆ氏、恐ろしい子……!」
紅莉栖「……だいたい、私のサイズもわからないのにどうやって作ったのよ?」
まゆり「え? だってこの前、一緒にお風呂に入ったよね!」
紅莉栖「ええ……」
まゆり「それで、クリスちゃんのサイズはだいたいわかったのです」
紅莉栖「な──!? まさか、そんなこと、が……?」
岡部「フハ、フハハハ……。助手よ、どうやらまゆりの能力、見ただけでその人間のサイズを感知することが出来る……メジャーメント・ブレイカー! が発動したようだな。すでに貴様のスリーサイズは、まゆりの手の平の上……! 貧弱なバストのサイズが72だということも、まゆりにはバレてしまっているということだ! ハハハ──」
紅莉栖「貧弱って言うな! だ、だいたいな! 私は72以上あるわよ……っ……き、きゃ、キャラを間違ってるぞ!」
ダル「じゃいくつなん?」
紅莉栖「ななじゅう──って、なんでHENTAI共に教えなきゃなんないのよー!!」
まゆり「79なのです」
紅莉栖「そ……まゆり……黙っててよ……」
ダル「メモ、メモ……。じゃ、他のサイズは?」
まゆり「えっとー、上から79──」
紅莉栖「わわぁっ!」
──!
ダル「あぁー……! なんで邪魔するん!? せっかくスレを立てようと思ってたのにぃ……」
紅莉栖「スレ立てすんな!」
まゆり「──ぶはぁ……。苦しかったぁー」
紅莉栖「……ごめんね。でも、私のサイズは秘密だからね?」
まゆり「そう? 隠すことないのにー」
岡部「まぁ、俺はクリスティーナの棒のようなスタイルに興味は無いのだがな」
紅莉栖「いつか殺す……」
岡部「しかし……。クリスティーナのコスプレ衣装がすでに用意されているのなら話は早い。……さっそく、エントリーの手続きに行ってこよう」
紅莉栖「まてまてまて! だいたい、どんな衣装着るかもわからないのにOKできるわけないでしょ?」
まゆり「えっとねー、今日は持ってきてないけど、キャラのイラストならあるよー! ……クリスちゃんにピッタリのキャラなのです……えっと……これだよ!」
紅莉栖「!? こ、これは……」
ダル「ほ、ほーう……。これは、ブラッドチューンの"星来 オルジェル"ではありませぬか。たしかにツンデレキャラなので、牧瀬氏にぴったりでござるな」
紅莉栖「ツンデレ言うな……!」
まゆり「これを着て……"ぼけなす♪"、って言ってほしいなー! 優勝間違いなしなのでーす」
紅莉栖「……っ……でもさ、まゆり? この、星来ちゃん? その……パンツしか穿いてないないんだけど……? 恥ずかしくて着られないわよ、これじゃ──」
まゆり「大丈夫だよ、クリスちゃん」
紅莉栖「え?」
まゆり「パンツじゃないから恥ずかしくないのです」
紅莉栖「ちっとも大丈夫じゃねー!」
ダル「牧瀬氏……。今のまゆ氏のセリフ、もう一度言ってみて?」
紅莉栖「言えるわけあるか馬鹿! ……っ……ちょっと、岡部! 私には無理だって! 着られるわけないでしょ、こんな露出が高いの……! 他のことにしてよ──あれ? 岡部は?」
ダル「ん? さっき出て行ったお」
紅莉栖「いつの間に──! ん、メール……? ……岡部? 『喜べ助手よ、エントリー完了したぞ』……だとぉ!?」
まゆり「じゃあ、明日持ってくるね! クリスちゃんに着てもらって、イベントまでに細かい所を調整しないとねー!」
紅莉栖「……鬱だ……はぁ……アメリカに帰りたい……」
…………。
……。
まゆり「ひぃ……ふぅ……みぃ…………うん! オカリン、全員揃ったよー」
岡部「うむ……。それでは本日の円卓会議を始めたいと思う……」
るか「あの……牧瀬さんがいないみたいなんですが……」
岡部「よく気がついたなルカ子よ……!」
萌郁「……普通……気づくと思う」
鈴羽「まぁ、あたしは牧瀬紅莉栖がいなくても別に構わないけどー?」
岡部「安心するがいい。ラボメンはちゃんと8人揃っているのだから、な!」
フェイリス「それじゃあ、クーニャンはどこに行ったのニャ?」
岡部「くくく……! どうやら、我が助手を召喚するときが来たようだ……。この漆黒の力を宿せし左手よっ! 今こそ、封印を解き放たんっ!」
フェイリス「凶真っ! 今封印を解いたら、秋葉原が大変なことになるニャ! ……フェイリスだけでは、エンシェント・レクイエムを制御できないニャ!」
岡部「ぐっ……。だが……これしか、方法が……ない! ……ぐ、ぐああぁぁ!」
フェイリス「──! 凶真……っ……!」
鈴羽「いるんならさっさと呼べばいいのにー」
ダル「むやみにもったいぶるのは、厨二のデフォルトなので……。すまんね」
岡部「……っ……告げる……! 今こそ古(いにしえ)の血の盟約に従い、その姿を現わさん! ……来たれ、クリスティーナよっ!」
──!
……。
萌郁「…………出て来ない」
るか「しょ、召喚に失敗したんでしょうか……?」
フェイリス「まさか……。凶真の力が無効化されたのかニャ……?」
岡部「く……っ……! どうやら……守護結界が張られていたようだ。すでに奴らは復活を遂げていたらしい……!」
フェイリス「そんなことはあり得ないニャ……。暗黒の十二使徒は、エターナル・ランスによって封印されたはず……!」
まゆり「じゃあ、まゆしぃが呼んでくるね!」
岡部「あぁ! まゆり! 今ここを離れたら危険だぞ!?」
ダル「茶番、乙!」
岡部「茶番ではない!」
まゆり「クリスちゃーん? もう出て来てもいいよー?」
紅莉栖「……っ……いや、でも……」
まゆり「……? みんな待ってるよー? 早く行こうよー!」
紅莉栖「ちょ、ちょっとまゆり……!? 引っ張らないで──」
まゆり「ほら、クリスちゃんっ!」
クリス「きゃあっ!」
──!
るか「……牧瀬さん……! その格好……」
紅莉栖「……ちょ……みんな、そんなにジロジロ見ないでよ……」
萌郁「……コスプレ……?」
フェイリス「おぉー! これは、ブラチューの星来コスだニャー♪」
鈴羽「へぇー! なんだかわかんないけど、けっこう似合ってんじゃん」
るか「とてもお似合いなんですけど……その……すごい肌の露出ですね……」
ダル「みwなwぎwっwてwきwたwwwww 星来は俺の嫁、完成度高すぎだろお! オパーイは少し小さい……だが、それがいい!」
紅莉栖「大きなお世話だ! ぼけなす☆」
ダル「ぼけなす☆ いただきましたー!」
まゆり「しかも! このサムライコンデンサーを装備すれば完璧なのです。──はい、クリスちゃん!」
紅莉栖「……三次元女になんか、騙されちゃダメだぞっ☆」
ダル「はい! 騙されません!! ……星来、かわいいよ、星来……ハァ……ハァ……」
──パシャ!
萌郁「……激写」
ダル「桐生氏だけズルいお! 僕もカメラ持って来るー! 円卓会議なんてやってる場合じゃねえ!」
岡部「……今日の円卓会議の議題即ち──助手のコスプレを検証するために集まってもらったが……。どうやら、評価はまずまずのようだな」
まゆり「うん! まゆしぃの目に狂いはなかったのです! クリスちゃんには絶対、星来コスが似合うな、って! これでクリスちゃんがコスプレを好きになってくれたら、まゆしぃはとっても嬉しいのです!」
岡部「ご苦労だった助手よ。……それよりどうしたのだ? あれほど嫌がっていたのに、けっこう乗り気になっていたようだが……。眠っていたコスプレ魂が目覚めたのか?」
紅莉栖「そんなものあるか! ……まぁ、でもやるからには勝ちたいじゃない? それが例えコスプレ大会だったとしても」
岡部「そうか、さすがは負けず嫌いの実験大好きっ子……」
まゆり「だからクリスちゃんは、ブラチューのアニメを観て、一生懸命研究したんだよね! 星来ちゃんが好きな立ち食いのお蕎麦にも挑戦したんだよー」
クリス「……っ……それで、あんたは……どう思うのよ……?」
岡部「ど、どう……思うとは?」
紅莉栖「行きがかり上とはいえ、あんたのせいでこんな格好することになったんだ。か、感想くらい無いのか……?」
岡部「……う、うむ。こ、この完成度ならば……我が野望を達成する日も遠くあるまい。……たまには助手らしい働きを見せるではないか。少しは褒めてやっても良い。フフ、フハハハ、フハハ──」
紅莉栖「なによそれ!」
岡部「うるさい! ……貴様も、そんな、パンツ一丁のような格好でいたら……風邪をひくぞ。……いい加減、着替えんか」
紅莉栖「パンツじゃないから平気です」
岡部「な、なにを屁理屈を!」
紅莉栖「バカ岡部!」
岡部「なんだとー!?」
まゆり「オカリンもクリスちゃんも、ツンデレさんだねー」
岡部・紅莉栖
「ツンデレ言うな!」
…………。
……。
岡部「コスプレ衣装は完成したのか?」
まゆり「うん! ちょこっと直すだけだったからねー」
岡部「流石は、メジャーメント・ブレイカーの能力者だな。そこまで正確にサイズを感知できるとは……。オレのサイズもお見通しだとしたら、うかうかできんな」
まゆり「うん。だからね、オカリンやダルくんのコスプレ衣装も、実は作ってあるんだよー」
岡部「……っ……すでに遅かったか……」
まゆり「いつか着てくれると、まゆしぃはとっても嬉しいのです!」
岡部「この狂気のマッド・サイエンティストがコスプレなど……。あり得んな」
まゆり「とっても似合うと思うんだけどなー。一度着れば、クリスちゃんみたいにきっと好きになってくれるのです」
岡部「そういえば、衣装はクリスティーナがホテルに持って帰ったようだが……」
まゆり「イベントまでポーズの研究をするんだってー」
岡部「はは……そうか。研究熱心なのは良いことだ。勝利がより確実なものになるだろう」
まゆり「だからね、オカリン」
岡部「ん?」
まゆり「ちゃんと、クリスちゃんに似合ってるって言ってあげなきゃダメだよ? きっとクリスちゃんは、オカリンに言って欲しかったのです」
岡部「…………うむ。考えておこう」
…………。
……。
司会「それでは、秋葉原UPXコスプレコンテストの開催です!」
──パチパチパチパチ……。
岡部「なにっ!? クリスティーナが来ていない!?」
まゆり「うん……」
岡部「寝坊しているんじゃないのかっ!」
まゆり「ホテルに電話したら、朝出かけたって……」
ダル「携帯も繋がらないお……」
岡部「……う、むむ……! よもや、直前になって怖じ気づいたのか……?」
まゆり「そんなことないよー、昨日の夜も話したけど、クリスちゃんとっってもやる気だったんだから……
」
岡部「…………そうだな」
るか「でも……。コスプレ衣装を持ったまま、どこに行ってしまったんでしょうか?」
スタッフ「牧瀬紅莉栖さん、準備して下さい」
フェイリス「わわ……もうすぐクーニャンの出番だニャ」
鈴羽「どうするの? 岡部倫太郎!」
岡部「……くっ……!」
まゆり「オカリン……」
るか「……棄権、するしかないのでしょうか……」
岡部「いや! ……未来ガジェット研究所の名誉に懸けて、逃げ出すわけにはいかん! ……助手の責任は、我が責任だ!」
…………。
……。
紅莉栖「はぁ……はぁ……っ…………岡部」
岡部「……ん……クリスティーナ……」
紅莉栖「もう……終わったわよね」
岡部「ああ」
紅莉栖「ごめん! ……でも、言い訳はしない……っ……」
岡部「……。まぁいい。なにかわけがあるのだろう?」
紅莉栖「ごめん……」
岡部「謝らずとも良い。おおかた、携帯もホテルに忘れたのだろう? 緊張していたのだな? ……それに、ラボメンの不手際は、ラボの主たるこの俺がパーフェクトにフォローしておいたからな。安心するが良い」
紅莉栖「どういうこと?」
まゆり「あー! クリスちゃんだー! トゥットゥルー♪」
紅莉栖「ごめんね! まゆり……。コスプレ衣装せっかっく作ってくれたのに……」
まゆり「大丈夫だよ。着る機会はまだたっくさんあるのです! ……それにね、代わりにとっっても良いものが見られたんだー」
紅莉栖「良いもの?」
岡部「──んんっ! ……それはいい!」
まゆり「クリスちゃんにも見せたかったなぁ」
岡部「だから良いと言っているだろ!」
萌郁「……岡部くんが……コスプレしたの」
紅莉栖「え? コスプレ?」
岡部「なっ……! シャイニング・フィンガー! こんなときだけ喋るな!」
紅莉栖「どういうこと……?」
フェイリス「凶真が、クーニャンの代わりにステージにあがったのニャ♪」
紅莉栖「……! でも、衣装はどうしたの? 星来のコスチュームは私が持っていたし──」
岡部「仮にあったとしてもそんなもの着られるわけがなかろう!」
まゆり「まゆしぃは、オカリンとダルくんのコスプレも作っていたのです!」
岡部「……ラボに置いてあったのでな。直前で、バイト戦士に取りに行かせたのだ。腕力と機動力はあるからな」
紅莉栖「ふぇっ!? ……じゃあ、橋田も……?」
るか「はい。お二人とも似合ってました……」
……。
──パチパチパチパチ。
岡部『我こそは……世界の支配構造に混沌と変革をもたらす……"コード・ジアース"の主人公である!! 刮目して見るがいい!! フゥーハハハ!!』
ダル『ぼくは"うーぱ"だお』
……。
岡部「まさかこのような形で、狂気のマッド・サイエンティストがコスプレ大会に降臨することになろうとはな……」
まゆり「キャラはオカリンのままだったけど……」
紅莉栖「……あっははは! それは見たかったな! 来ればよかった」
岡部「お前が言うな」
ダル「ていうか、僕のはコスプレというより着ぐるみだった件について……。デブだと思って酷すぎるだろ常考。もっと金ピカの鎧とか用意すべき!」
まゆり「うわ、なんでだろう。すごく似合う気がするのです」
紅莉栖「……それで? 審査はどうだったの?」
岡部「……くくく……! この俺の、闇に魅入られし力を持ってすれば……コスプレコンテストの審査員を篭絡するなど容易いことだ」
鈴羽「おーーーい! 係りの人がこんなに沢山おでん缶をくれたよー! 参加賞だってー」
紅莉栖「……参加賞か」
岡部「ぐぬぬ……。審査員の中に"機関"のエージェントが潜んでいたのだ! ……それで、審査の妨害工作をだな──」
紅莉栖「ふふふ、厨二病乙」
岡部「……っ……だ、だいたい! クリスティーナが出ていれば、優勝も夢ではなかったのだ! ……少なくとも、俺はそう思っている」
紅莉栖「え?」
岡部「…………」
紅莉栖「似合ってた、ってこと……?」
岡部「……どう取るかはお前の勝手だ。……もう行くぞ」
紅莉栖「はいはい。勝手にします!」
岡部「いや勝手にするな! 助手の分際で」
紅莉栖「どうせーっちゅーねん!」
萌郁「……二人とも、ツンデレ……」
岡部「だからこういうときだけ喋るなっ!」
……。
岡部「──では、この後はラボで開発評議会でも行うか」
るか「なんですか? それ」
ダル「残念会のことですね、よくわかります」
まゆり「でも、まゆしぃはあまり残念じゃなかったよー! 良い日だったと思うなー」
フェイリス「フェイリスも、凶真のコスプレが見られて楽しかったニャ! だから、着替えニャいでそのまま着ていて欲しかったニャ♪」
岡部「ば、ばば、馬鹿を言うな!」
ダル「でも残念会が、おでん缶だけっていうのはどうなん? それこそ残念すぐるだろ」
岡部「……うーむ……。財政状況はひっ迫しているが、買い出しに行ってラボで料理をするか」
紅莉栖「わかったわ。お詫びに、今日の料理は私が──」
岡部「だが断る」
紅莉栖「……どういうことよ!? 人の好意をなんだと思ってる!」
岡部「ラボの破壊活動を……容認することは出来ない」
紅莉栖「私はテロリストか……」
ダル「確認した。だいたい合ってる」
紅莉栖「……あんた、ら……っ……!」
──「あっ……! 助手のお姉ちゃーん!!」
紅莉栖「あ、綯ちゃん」
綯「さっきはありがとう!」
紅莉栖「いいのよ。……それより、"紅莉栖"お姉ちゃんね……」
岡部「小動物となにかあったのか?」
紅莉栖「別に。大したことじゃないわ」
岡部「……?」
──「おっ! 助手のねーちゃんじゃねえか!」
紅莉栖「いや、だから……。助手では……」
天王寺「綯が世話になったな! ありがとよ!」
岡部「ミスター・ブラウン……? なにかあったんですか?」
天王寺「ああ。助手のねーちゃんに、綯が助けてもらったんだ!」
岡部「助けた? ……実験の被験者にするつもりだったのでは?」
紅莉栖「おい……」
天王寺「今日どうにも外せねえ用事が出来ちまってな。バイトは休みだから、代わりに綯にお使いに行ってもらったんだ。お得意さんに、書類を届けに──」
……。
綯『……う……っ……うぅ……』
紅莉栖『……! 綯ちゃん?』
綯『あ……助手のお姉ちゃん……』
紅莉栖『どうしたの? なにかあった?』
綯『……お父さんに預かった、大事な封筒を……なくしちゃったの……。すぐ届けに行かないといけないのに……』
紅莉栖『…………』
綯『うぅ……っ……』
……。
天王寺「それで一緒に探してもらった、と。封筒も無事見つかったそうだ!」
綯「お姉ちゃん、ずっと私と一緒にいてくれたんだよ! 大きな荷物を持っていたのに……」
岡部「……そうだったのか」
紅莉栖「……あんたの言う通り、携帯を忘れちゃったから……連絡が出来なかった」
鈴羽「少しは見直したよ、牧瀬紅莉栖」
紅莉栖「そりゃどうも」
岡部「……しかし。クリスティーナも理由くらい話せば良かっただろうに」
紅莉栖「いいのよ。私が逃げ出したんじゃない、って皆わかってくれたでしょ……。だから、私はそれだけで十分」
まゆり「クリスちゃんは照れ屋さんなのです」
紅莉栖「べ、別に……! 照れてなんか、ないし……」
岡部「……クリスティーナ。これからはなんでも正直に話せ」
紅莉栖「岡部……」
岡部「当然ではないか。……シスター・ブラウンを助けたとなれば……ミスター・ブラウンは恩義に感じて、『今月の家賃はまけてやるぞ』というはず。結果的に、ラボの資金難を救うことになるのだからな。助手として、見事な働きではないか」
紅莉栖「……さいですか」
天王寺「おう、岡部!」
岡部「な、なな、なんです? ミスターブラウン!」
天王寺「お礼と言っちゃあなんだが、今月の家賃まけてやるぞ!」
岡部「……へへへっ。当然のことをしたまでで、したがってそのような必要もないのですがしかーしまぁ、ミスター・ブラウンの好意を無碍にするのもなんですから、あーちなみにおいくらほど……?」
天王寺「ズバリ……」
岡部「ズバリ……?」
天王寺「500円だ!」
岡部「たはっ……!?」
天王寺「いやぁ、オレもつくづく気前のいい男だねぇ!」
綯「お父さん、カッコいいー!」
天王寺「そうか? 綯! お父さん、カッコいいか?」
綯「うんっ!」
岡部「いやいやいやいや……。それはないでしょう? ……500円って、あんなに苦労したんですよ?」
紅莉栖「あんたが苦労したわけじゃないだろ!」
岡部「せめて1000円はまけていただかないと!」
ダル「オカリン、小っちぇ!」
岡部「黙れ! スーパーハカー!」
ダル「ハッカーな!」
岡部「これには、ラボの命運がかかっている! ……この戦いは引けんのだ……!」
天王寺「うーん……じゃあ、550円でどうだ! つくづく気前のいい男だねぇ!」
綯「わぁ、お父さんカッコいい!」
天王寺「そうか! カッコいいか?」
岡部「……いやカッコよくないでしょ」
紅莉栖「あんたが言うな」
岡部「では……900円で!」
天王寺「うーん……」
紅莉栖「はぁ……。みんな、岡部はほっといて買い物に行きましょ。──やっぱり、アップルパイかな」
ダル「いや……。それはよしたほうがいいと思われ……」
紅莉栖「そう?」
まゆり「……やっぱり今日はいい日だったのです」
紅莉栖「まゆりー? 行くわよー」
まゆり「はーーい!」
岡部「ん-ーー! ミスター・ブラウン! それでは、850円ではいかがですか!?」
……。